事業等のリスク
当社グループの経営成績、株価および財政状況等に影響を及ぼす主要なリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
1. 市場や供給に係るリスク
当社グループは、基礎化学、石油化学、精密化学、情報電子化学、農業化学、医薬品など、様々な事業を行っており、事業に関わるリスクは多種多様である。事業に係る市場リスクや供給リスクについては、主に以下のようなものがある。
当社グループの事業は価格競争に晒されている。海外企業の国内市場参入、関税引き下げなどによる輸入品の流入、ジェネリック品の台頭など、様々な理由により当社グループの製品群は今後も厳しい価格競争に晒されるものと予想される。当社グループはコストの低減に努めているが、価格競争を克服できない場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
当社グループの海外売上高は売上高の4割以上を占め、基礎化学部門、石油化学部門などの製品は特にアジア市場での販売が多い。また、情報電子化学部門は、韓国や台湾の特定顧客向けの販売が大きな比重を占め、精密化学部門の一部製品は特定顧客へカスタムメードで製品を供給している。アジア市場での経済情勢の悪化、あるいは顧客企業の業績状況の変化などによる値下げ要求が発生した場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
石油化学部門の主要原料であるナフサは、中東地域の治安や世界の経済情勢に多大な影響を受け、時に急激な価格変動を起こすことがある。ナフサの価格が急激に上昇した場合、製品価格への転嫁が遅れることなどにより、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある
ナフサやその他の原材料品の一部については、特定の地域や購入先に依存している。購入先を複数にするなど、主要原料が購入できないリスクを低減するように努めているが、時に主要原料の不足が生じないという保証はない。必要な主要原料が確保できない場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある。
情報電子化学部門の製品は、技術革新のスピードが速く、タイムリーに新製品を開発・提供していく必要がある。当社グループが顧客ニーズを満足させる新規製品を有効に開発できない場合、また他社において画期的な技術革新がなされた場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
農業化学部門の農薬や家庭用殺虫剤の出荷は、世界各地域における異常気象等の理由による作物の育成状況や病害虫の発生状況に左右される。また飼料添加物は急激な価格変動を起こすことがある。作物の育成状況が悪くなった場合、病害虫の発生が少なくなった場合、或いは急激な価格変動が起こった場合、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
医薬品部門では、国内において、急速な少子高齢化が進むなか医療保険制度改革が実行され、その一環として医療報酬体系の見直し、薬価制度改革などの議論が続けられている。薬価制度改定を含む政府の医療費抑制策が、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
2. 為替レート変動に係るリスク
当社グループは、国内で製造した製品を海外に輸出するとともに海外から原料品を輸入しているが、製品輸出高は原料品輸入高を上回っている。外国通貨に対して円高が進行した場合、海外で生産された製品に対する価格競争力が低下することに加え、輸出手取額の減少が輸入支払額の減少を上回ることになる。このようなリスクに対しては、為替予約や円建輸出取引を行うことによりリスクを最小限にするように努めているが、中長期的な為替レートの変動によるリスク等を完全にヘッジすることは出来ないため、円高の進行は当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算されている。換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があり、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
3. 金利変動に係るリスク
当社グループは、資金需要に対してその内容や財政状況および金融環境を考慮し、調達の金額・期間・方法等を判断している。今後の金利の変動に備え、固定金利・変動金利を適宜組み合わせて調達を行っているが、金利が上昇した場合には支払利息が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
4. 株式相場変動に係るリスク
当社グループが保有する有価証券の多くは、時価のある有価証券であるため、株式相場が大幅に下落した場合、減損が発生し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
5. 固定資産の減損に係るリスク
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用している。将来、業績の大幅な悪化や不動産価格の下落等があった場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性がある。
6. 繰延税金資産の取崩しに係るリスク
当社グループは、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っているが、将来の課税所得の予測・仮定が変更され、繰延税金資産の一部ないしは全部が回収できないと判断された場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を与える可能性がある。
7. 退職給付債務に係るリスク
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、年金資産の運用収益率や割引率などの数理計算上の前提に基づいて算出されている。年金資産運用環境の悪化により前提と実績に乖離が生じた場合などは、将来の退職給付費用が増加し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
8. その他経営全般に係るリスク
- 海外事業展開
当社グループは中東やアジアなど海外での事業活動を今後一層拡大していくこととしている。海外で事業活動を行っていくには法律や規制の変更、労務環境の違いによる争議等の発生、人材の採用と確保の難しさ、テロ・戦争・その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
ラービグ計画の総事業費のうち58億ドルについては、ラービグ リファイニング アンド ペトロケミカル カンパニーが国際協力銀行(現 株式会社日本政策金融公庫 国際協力銀行)を始めとする銀行団とプロジェクトファイナンス契約を締結し、銀行借入により調達している。当社はその50%について工事完成にかかる保証を行っており、建設工事が完了し、プラントの稼動開始後所定の条件を満たせない場合、保証の履行により当社の経営成績および財政状態に影響をおよぼす可能性がある。なお、当社は、当保証を含むプロジェクト総投資額に対し、不測の事態による損害に備え、独立行政法人日本貿易保険の規約・限度額に従い、海外投資保険等に加入している。 - 研究開発
当社グループは、需要家のニーズに合わせた新技術・新製品をスピーディーに上市するため、積極的に研究開発を行っている。当社グループの研究開発は、次世代事業の創生のための探索研究を含んでいるため研究開発期間が長期間に亘る場合があり、また、研究開発テーマが実用化されず、新製品の開発が著しく遅延または断念される場合には、競争力が低下し、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
- 知的財産権
当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、厳正な管理を行っているものの、予期せぬ事態により外部に流出する可能性があり、また、特定の地域ではこれらの知的財産の完全な保護が不可能なため、第三者が当社グループの知的財産を使用して類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性がある。また将来、知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされる可能性がある。
- 製品の品質
当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造しているが、すべての製品について欠陥が無く、将来に亘ってリコールが発生しないという保証はない。大規模な製品事故は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、農薬や医薬品等は各国の厳しい審査を受けて承認されているが、科学技術の進歩と市販成績が蓄積された結果から、新たに品質問題や副作用が見つかることもある。このように上市後予期せぬ品質問題や副作用が発見された場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状況に重要な影響を与える可能性がある。 - 事故・災害
当社グループは、製造設備の停止や製造設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、すべての製造設備において定期的な点検を実施している。しかしながら、製造設備で発生する事故、自然災害等による影響を完全に防止・軽減できる保証はない。また、当社グループの事業活動におけるシステム・ネットワークへの依存度は年々拡大しており、セキュリティの高度化などによりシステムやデータの保護に努めているが、停電、自然災害やコンピューターウィルス、ハッカー等のシステム犯罪などにより、システム・ネットワーク障害が生じる可能性がある。
事故等により、工場周辺に物的・人的被害を及ぼした場合、あるいは、システム・ネットワーク障害が発生した場合、事業活動に支障をきたすほか多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績ならびに財政状況に悪影響を及ぼす可能性がある。 - 規制変更
当社グループは、事業展開する各国の規制に従い、業務を遂行している。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈およびその他の政策変更ならびにそれらによって発生する事態が、当社グループの業務遂行や経営成績等に悪影響を及ぼす可能性がある。また将来的に環境および化学品安全等に対する法的規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性がある。
- 訴訟
当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績ならびに財政状況に重要な悪影響を及ぼす可能性がある。なお、現在係争中の訴訟事件等は、下記のとおりである。
- 当社連結子会社の大日本住友製薬株式会社と湧永製薬株式会社との間で係争していたニューキノロン化合物のライセンス契約の解除に伴う訴訟について、平成21年3月24日付けの大阪高等裁判所における大日本住友製薬株式会社勝訴の判決に対して、湧永製薬株式会社が同年4月6日付けで最高裁判所に上告していたが、平成22年4月22日付けで、上告棄却の決定があった。これにより、大阪高等裁判所における判決が確定し、当該訴訟は終結した。
- 当社の連結子会社であるセプラコール社は、平成19年4月、同社の長時間作用型β作動薬「ブロバナ」について、デイ社からデイ社保有の製剤および用途に関する米国特許を侵害しているとして、米国ニューヨーク州南部連邦地方裁判所に提訴されており、現在係争中である。

