スミカスーパー LCPの機械的特性

成形品肉厚依存性

スミカスーパー LCPは溶解時のせん断力により容易に分子が配向します。成形品が薄肉であるほど配向の強いスキン層の割合が高くなるため、単位断面積当たりの強度はより高くなります。表1にスミカスーパー LCPの薄肉特性を、図1、図2に成形品肉厚依存性を示します。

表1 薄肉特性

項目 厚み(mm) E5008L E5008 E4008 E6008 E6006L E6807LHF
引張強度(MPa) 0.5 151 161 178 199 215 174
0.8 151 139 171 184 194 161
1.2 135 119 158 164 172 145
1.6 132 113 131 149 160 137
引張伸び率(%) 0.5 2.4 2.9 3.0 3.0 2.4 2.5
0.8 2.7 3.1 3.7 3.5 2.8 3.0
1.2 2.8 3.3 4.1 4.0 3.4 3.5
1.6 3.1 3.5 4.5 4.2 3.7 3.8
引張弾性率(GPa) 0.5 18.6 17.6 19.5 18.6 21.7 18.4
0.8 16.1 15.4 17.1 16.5 15.8 14.2
1.2 14.1 12.4 13.4 12.4 12.2 11.5
1.6 11.6 11.0 10.8 11.0 9.8 9.8
成形温度(℃) 400 380 350 340
成形機: 日精樹脂工業PS40E5ASE
試験片: JIS K7113,1(1/2)号ダンベル片

図1 スミカスーパー LCPの引張強度

図1 スミカスーパー LCPの引張強度

図2 スキン/コア図

図2 スキン/コア図

物性の異方性

スミカスーパー LCPの異方性を表2に示します。流れ方向(MD)とその直角方向(TD)との値が大きく異なることが判ります。射出成形に際してはゲート位置等金型設計では十分留意してください。

表2 物性の異方性

項目 単位 測定方向 E5008L E5008 E4008 E6008 E6006L
成形収縮率 % MD 0.05 0.06 0.10 0.18 0.19
% TD 0.81 1.25 1.32 1.16 0.74
曲げ強度 MPa MD 137 130 138 136 156
MPa TD 58 56 57 61 92
曲げ弾性率 GPa MD 13.4 12.6 12.7 12.2 11.4
GPa TD 3.7 3.3 3.0 4.4 4.7
成形収縮率試験片: 64×64×3mmt (1mmt フィルムゲート)
曲げ物性試験片: 13w×3t×64Lmm
支点間距離: 40mm
射出成形機: 日精樹脂工業 PS40E5ASE

ウエルド強度

一般に、液晶ポリマーは固化速度が速く異方性も大きいため、ウエルド強度が低くなる傾向があります(図3)。
金型の製作においては適切な設計が重要となります。

図3 スミカスーパー LCPのウエルド強度

図3 スミカスーパー LCPのウエルド強度

曲げ弾性率の温度依存性

スミカスーパー LCPの様な液晶性ポリマーは、結晶性、非晶性ポリマーのようにガラス転移点における極端な弾性率低下はみられず、温度上昇とともに徐々に低下する傾向を示します。各シリーズとも250℃においても実用的な曲げ弾性率を有し、耐熱エンプラの中でも高いランクに位置付けされます。(図4)
また、成形後の製品に熱処理を施すことによりスキン構造がより強固なものとなり、弾性率は向上する傾向にあります。弾性率以外に強度、熱変形温度やクリープ特性についても同様の傾向がみられます。

図4 曲げ弾性率の温度依存性

図4 曲げ弾性率の温度依存性

リサイクル性

スミカスーパー LCPは、30%リサイクルで初期にわずかな強度の低下がみられますが、リサイクル3回目以降ではほとんど変化はありません。この時の強度保持率は90%以上となっています。(図5)。
また、収縮率の変化はほとんどみられません(図6)。リサイクル品の使用割合を30%以上にする場合はお問い合わせください。

図5 リサイクル回数と引張強度保持率の関係

図5 リサイクル回数と引張強度保持率の関係

図6 リサイクル回数と成形収縮率の関係

図6 リサイクル回数と成形収縮率の関係
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