スミカエクセル PESの特徴

はじめに

スミカエクセル PES(Polyethersulphoneの略称)は、ICI社のライセンスを受け、国産化した非晶性の耐熱樹脂で、以下の分子構造を持っています。

スミカエクセル PESの分子構造

スミカエクセル PESは、琥珀色を帯びた透明樹脂で、耐熱性、耐クリープ性、寸法安定性、難燃性、耐熱水性などの特徴を有し、成形材料としては、リレー、バーンインソケットなどの電子部品、ICトレー、プリンターおよび複写機部品、滅菌が必要な医療機器部品および歯科用備品、ページャーおよび携帯電話におけるLCD基板用フィルムをはじめ、種々の用途に展開されています。
また、パウダーグレートも取り揃えており、航空機用途におけるエポキシ系複合材料の靭性付与剤、耐熱塗料、接着剤、平膜および中空糸膜などの用途に幅広く展開されています。

スミカエクセル PESの特徴

耐熱性

熱変形温度は200~220℃であり、連続使用温度はUL温度インデックスで180~190℃に認定されています。
弾性率は-100~200℃までの温度領域ではほとんど変化しません。特に100℃以上では、あらゆる熱可塑性樹脂より優れています。(図1)。また、成形時の熱安定性が優れるため、製品(成形品)に包埋されるガスは、他のエンプラ材料と比べ極めて少ないレベルです。(図2)。

図1 曲げ弾性率の温度依存性

図1 曲げ弾性率の温度依存性

図2 成形温度と成形品からの発生ガス量

図2 成形温度と成形品からの発生ガス量

(各温度で成形したダンベル型試験片を
120℃×20hr加熱した時に発生するガスを
ヘッドスペースガスクロマトグラフで分析)

耐衝撃性

良好な耐衝撃性を持っており、ナチュラルグレードはスナップフィットも可能ですが、鋭いノッチに鋭敏なので設計上、注意が必要です。

耐クリープ性

180℃までの温度領域では、熱可塑性樹脂の中で最高レベルの耐クリープ性を有します。

光線透過率

耐熱エンプラの中では優れたレベルの光線透過率を有しています。

図3 PESの光線透過率

図3 PESの光線透過率

寸法安定性

線膨脹係数は小さく、その温度依存性が小さいことが特長です。特に、GF強化系(4101GL30)の線膨脹係数は、2.3×10-5/Kで、アルミニウムに近い値を200℃近くまで保持しています。

図4 線膨脹係数の温度依存性

図4 線膨脹係数の温度依存性

難燃性

難燃剤無添加でUL94 V-0に認定されています。また、燃焼時の発煙量は、American National Bureau of Standardsの試験結果によれば、プラスチックの中では最も少ないことが知られています。

図5 米国NBSのスモークチャンバー試験結果

図5 米国NBSのスモークチャンバー試験結果

(炎上状態 1/8"サンプル)

耐熱水性

加水分解を起こさず、160℃の熱水、スチーム下でも適用できます。ただし、吸水に伴う特性変化に注意が必要です。

耐薬品性

ガソリン、エンジンオイルなどのオイル、グリース類、およびクロロセン、フレオンなどの洗浄溶剤に耐えます。ただし、アセトン、クロロホルムなどの極性溶剤には侵されますので、使用にあたっては注意が必要です。一方、耐ストレスクラッキング性は、非晶性樹脂の中で最も優れています。(表1)。
また、高温下でもアルカリ、酸に耐性があります。ただし、実用にあたっては実成形品を用いた事前評価が必要です。

表1 耐薬品性、耐ストレスクラッキング性

  浸漬試験 耐ストレスクラッキング試験
4800G 4800G ポリサルホン
アンモニア A - -
50%苛性ソーダ A - -
濃塩酸 A - -
10%硝酸 A - -
濃硝酸 C - -
過酸化水素水 A - -
ベンゼン A a c
キシレン B a c
アセトン C c c
メチルエチルケトン C c c
ヘプタン A a a
シクロヘキサン A a a
グリセリン A a a
エチレングリコール A a a
四塩化炭素 A a a
ガソリン A a b
酢酸エチル C b c

A: 影響なし。
B: 若干影響あり。
C: 使用に耐えない。
a: 荷重が余程大きい場合を除いて使用しうる。
b: 荷重が小さい場合のみ使用しうる。
c: 使用に耐えない。

耐候性

スミカエクセル PESの耐候性は良好ではありません。カーボンブラック添加グレードは、屋外での使用が可能な場合があります。

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