規則細則

ヒトES細胞利用研究倫理規則細則

2009年3月10日制定
2010年4月7日改定
2011年7月7日改定
2015年3月24日改定
2019年12月5日改定

目的

第一条
ヒトES細胞の使用は、医学および生物学の発展に大きく貢献する可能性がある一方で、人の生命の萌芽であるヒト胚を滅失して樹立されたものであり、また、全ての細胞に分化する可能性があることに鑑み、慎重な配慮が必要とされる。本細則は、ヒトES細胞利用研究倫理規則に基づき、当社が実施するヒトES細胞利用研究に関し、「ヘルシンキ宣言」(世界医師会)、「ヒト胚性幹細胞を中心としたヒト胚研究に関する基本的考え方」(平成12年3月6日科学技術会議生命倫理委員会ヒト胚研究小委員会)等に示された倫理規範を踏まえ、また「ヒトES 細胞の使用に関する指針」(平成31年4月1日、文部科学省告示第68号。以下、文科省指針という)に則り、ヒトES細胞利用研究が人の尊厳を侵すことのないよう、生命倫理の観点から遵守すべき基本的な事項を定め、もってヒトES細胞利用研究の適正な実施の確保を図ることを目的とする。

定義

第二条
本細則における主な用語の定義は以下の通りとする。

  1. 胚とは、一の細胞(生殖細胞を除く。)または細胞群であって、そのまま人または動物の胎内において発生の過程を経ることにより一の個体に成長する可能性のあるもののうち、胎盤の形成を開始する前のものをいう。
  2. ヒト胚とは、ヒトの胚(ヒトとしての遺伝情報を有する胚を含む。)をいう。
  3. 人クローン胚とは、ヒトの体細胞であって核を有するものがヒト除核卵と融合することにより生ずる胚(当該胚が一回以上分割されることにより順次生ずるそれぞれの胚を含む。)をいう。
  4. ヒトES細胞とは、ヒト胚から採取された細胞または当該細胞の分裂により生ずる細胞であって、胚でないもののうち、多能性(内胚葉、中胚葉及び外胚葉の細胞に分化する性質をいう。)を有し、かつ、自己複製能力を維持しているものまたはそれに類する能力を有することが推定されるものをいう。
  5. 分化細胞とは、ヒトES細胞が分化することにより、多能性および自己複製能力又はそれに類する能力を有しなくなった細胞をいう。分化細胞にこれらの能力を再び付与した場合、当該細胞はヒトES細胞である。
  6. 生殖細胞とは、始原生殖細胞から精子又は卵子に至るまでの細胞をいう。
  7. 樹立機関とは、ヒトES細胞を樹立する機関をいう。
  8. 臨床利用機関とは法令に基づき、医療(臨床研究及び治験を含む)に用いることを目的としてヒトES細胞を使用する機関(海外機関を除く)をいう。
  9. 海外機関とは外国において基礎的研究または医療に用いることを目的としてES細胞を使用する機関をいう。
  10. 分配機関とは、他の機関から寄託されたヒトES細胞(基礎的研究の用に供するものに限る。)を第三者に分配する業務を実施する機関をいう。
  11. 使用機関とは、ヒトES細胞を使用して基礎的研究を行う機関(海外機関を除く。)をいう。使用機関の長は研究開発統括役員とする。
  12. 使用計画とは、使用機関が行うヒトES細胞の使用に関する計画をいう。
  13. 使用責任者とは、ヒトES細胞の使用を総括する立場にある者をいう。
  14. 研究者等とは、使用責任者の監督の下で使用機関において、ヒトES細胞を取り扱う研究者および技術者をいう。

適用の範囲

第三条

  1. 本細則は、当社が単独で実施するヒトES細胞利用研究、および外部の機関と共同して実施するヒトES細胞利用研究の全てを対象とする。
  2. 当社は、使用機関としてヒトES細胞の使用のみを行う。
  3. ヒトES細胞の使用(基礎的研究に係るものに限る。)は、この細則に定めるところにより適切に実施する。

ヒトES細胞に対する配慮

第四条
ヒトES細胞を取り扱う者は、ヒトES細胞が、人の生命の萌芽であるヒト胚を滅失させて樹立されたものであることおよび全ての細胞に分化する可能性があることに配慮し、誠実かつ慎重にヒトES細胞の取扱いを行う。

使用の要件

第五条

1.  ヒトES細胞の使用は、次に掲げる要件を満たす場合に限り、行うことができる。

  1. 次のいずれかに資する基礎的研究を目的としていること。
    イ.ヒトの発生、分化および再生機能等の解明
    ロ.新しい診断法、予防法もしくは治療法の開発または医薬品等の開発
  2. ヒトES細胞を使用することが前号に定める研究において科学的合理性および意義を有すること。

2.  使用に供されるヒトES細胞は、次に掲げるものに限り、人クローン胚を用いて樹立されたヒトES細胞を含まない。

  1. ヒトES細胞の樹立に関する指針(平成31年文部科学省・厚生労働省告示第4号)で定める要件を満たして樹立されたヒトES細胞。
  2. 外国で樹立されたヒトES細胞で、ヒトES細胞の樹立に関する指針と同等の基準に基づき樹立されたものと認められるもの。

禁止行為

第六条
ヒトES細胞を取り扱う者は、次に掲げる行為をしてはならない。

  1. ヒトES細胞を使用して作成した胚の人または動物の胎内への移植その他の方法によりヒトES細胞から個体を生成すること。
  2. ヒト胚へヒトES細胞を導入すること。
  3. ヒト胎児へヒトES細胞を導入すること。
  4. ヒトES細胞から生殖細胞を作成すること。

ヒトES細胞の分配等

第七条
ヒトES細胞は、文科省指針に定められた分配の要件を満たす場合に限り、分配機関への寄託のほか、他の使用機関、臨床利用機関または海外機関に対して分配することができる。

使用記録の作成

第八条

  1. ヒトES細胞を取り扱う者は、ヒトES細胞の使用に関する記録を作成し、これを保存する。
  2. 研究開発統括役員およびヒトES細胞を取り扱う者は、ヒトES細胞の使用に関する資料の提出、調査の受入れその他文部科学大臣が必要と認める措置に協力する。

使用機関の長

第九条

  1. 研究開発統括役員は、使用機関の長として、次に掲げる業務を行う。
  1. 使用計画およびその使用計画の変更の妥当性を確認し、文科省指針に定める手続に従い、その実施を了承すること。
  2. ヒトES細胞の使用の進行状況および結果を把握し、必要に応じ、使用責任者に対しその留意事項、改善事項等に関して指示を与えること。
  3. ヒトES細胞の使用を監督すること。
  4. 当社において本細則および文科省指針を周知徹底し、これを遵守させること。
  5. ヒトES細胞の使用に関する教育研修計画を作成し、教育研修を実施すること。
  6. 作成した分化細胞の使用計画完了後の使用または保存を了承すること。

2.  研究開発統括役員は使用責任者を兼ねることができない。

使用責任者

第十条

1.  使用責任者は、次に掲げる業務を行う。

  1. ヒトES細胞の使用に関して、内外の入手し得る資料および情報に基づき、使用計画または使用計画の変更の科学的妥当性および倫理的妥当性について検討し、その結果に基づき、使用計画を記載した書類(以下、使用計画書という。)または使用計画の変更の内容および理由を記載した書類(以下、使用計画変更書という。)を作成すること。
  2. ヒトES細胞の使用を総括し、研究者等に対し必要な指示をすること。
  3. ヒトES細胞の使用が使用計画書に従い適切に実施されていることを随時確認すること。
  4. ヒトES細胞の使用に関する教育研修に研究者等を参加させること。

2.  使用責任者は、ヒトES細胞に関する倫理的な識見並びに十分な専門的知識および技術的能力を有するとともに前項各号に掲げる業務を的確に実施できる者とする。

倫理審査委員会

第十一条

    1. 研究開発統括役員の諮問機関として、ヒトES細胞利用研究倫理審査委員会(以下、倫理審査委員会という)を設置する。
    2. 倫理審査委員会は、次に掲げる業務を行う。
  1. 使用計画またはその変更について、文科省指針に即し、その科学的妥当性および倫理的妥当性について総合的に審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等に関して研究開発統括役員に対し意見を提出するとともに、当該審査の過程の記録を作成し、これを保管すること。
  2. 使用の進行状況、研究実施体制および結果について報告を受け、必要に応じて調査を行い、その留意事項、改善事項等に関して研究開発統括役員に対し意見を提出すること。

3.  倫理審査委員会の組織は以下のとおりとする。

  1. 使用計画の科学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるよう、次に掲げる要件の全てを満たしていること。なお、イからハまでに掲げる者については、それぞれ他を同時に兼ねることはできない。会議の成立についても同様の要件とする。

  イ.生物学・医学の専門家等、自然科学の有識者が含まれていること。

  ロ.倫理学・法律学の専門家等、人文・社会科学の有識者が含まれていること。

  ハ.一般の立場に立って意見を述べられる者が含まれていること。

  ニ.外部委員が2名以上含まれていること。

  ホ.5名以上で構成され、男女両性で構成されていること。

4.  倫理審査委員会の運営に関する規則は、倫理審査委員会の運営要領として、倫理審査委員会において別途定める。

使用機関の長の了承

第十二条

  1. 使用責任者はヒトES細胞の使用に当たっては、あらかじめ、使用計画書を作成し、使用責任者の略歴、研究業績および教育研修の受講歴を示す書類を添付して、使用計画の実施について研究開発統括役員の了承を求める。
  2. 前項の使用計画書には、次に掲げる事項を記載する。
  1. 使用計画の名称
  2. 使用機関の名称およびその所在地
  3. 使用責任者の氏名
  4. 使用の目的および意義
  5. 使用の方法および期間
  6. 使用計画終了後のヒトES細胞の取扱い
  7. 使用機関の基準に関する説明
  8. 外国から分配されたヒトES細胞を使用する場合には、当該ヒトES細胞がヒトES細胞の樹立に関する指針と同等の基準に基づき樹立されたものであることの説明

倫理審査委員会の意見聴取

第十三条
研究開発統括役員は、前条第1項の規定に基づき、使用責任者から使用計画の実施の了承を求められたときは、科学的妥当性及び倫理的妥当性について倫理審査委員会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき使用計画の文科省指針に対する適合性を確認する。

文部科学大臣への届出

第十四条

  1. 研究開発統括役員は、使用計画の実施を了承するに当たっては、前条の手続の終了後、あらかじめ、当該使用計画の実施について、文部科学大臣に届け出る。
  2. 前項の場合には、研究開発統括役員は、次に掲げる書類を文部科学大臣に提出する。
  1. 使用計画書
  2. 使用責任者の略歴、研究業績および教育研修の受講歴を示す書類
  3. 倫理審査委員会における審査の過程および結果を示す書類
  4. 第十一条第4項に定める倫理審査委員会の運営要領の写し
  5. 本細則の写し

使用計画の変更

第十五条

  1. 使用責任者は、第十二条第2項第1号、第3号から第8号までに掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、使用計画変更書を作成して、研究開発統括役員の了承を求める。この場合において、了承を求められた研究開発統括役員は、当該変更の科学的妥当性及び倫理的妥当性について倫理審査委員会の意見を求めるとともに、当該意見に基づき当該変更の文科省指針に対する適合性を確認する。
  2. 研究開発統括役員は、前項の了承をしたときは、速やかに、使用計画変更書並びに当該変更に係る倫理審査委員会における審査の過程及び結果を示す書類を添付して、その旨を文部科学大臣に届け出る。
  3. 研究開発統括役員は、第十二条第2項第2号に掲げる事項を変更したときは、速やかに、その旨を文部科学大臣に届け出る。

進行状況の報告

第十六条
使用責任者は、ヒトES細胞の使用の進行状況を研究開発統括役員および倫理審査委員会に随時報告する。

ヒトES細胞の使用の終了

第十七条

  1. 使用責任者は、ヒトES細胞の使用を終了したときは、速やかに、使用の結果を記載したヒトES細胞使用終了報告書を作成し、研究開発統括役員に提出する。
  2. 研究開発統括役員は、前項のヒトES細胞使用終了報告書の提出を受けたときは、速やかに、その写しを倫理審査委員会及び文部科学大臣に提出する。

分化細胞の取扱い

第十八条
作成した分化細胞を譲渡する場合には、当該分化細胞がヒトES細胞に由来するものであることを譲渡先に通知する。

研究成果の公開

第十九条

ヒトES細胞の使用により得られた研究成果は、知的財産権および個人情報の保護等に支障のある場合を除き、公開する。

改廃

第二十条

  1. 本細則は、文科省指針、ライフサイエンスにおける研究の進展、関連法令等の公布・改正状況、社会の動向等を勘案し、改廃を行う。
  2. 前項の改廃は、倫理審査委員会の了承のもとに行う。

附則

この細則は2019年12月5日より施行する。