基本的な考え方
企業活動のグローバル化の進展に伴い、国際取引における公正な競争の確保がますます重要になっています。このことから、米国の海外腐敗行為防止法や英国の贈収賄防止法の強化に見られるとおり、贈収賄などの腐敗行為を防止すべきとの認識が国際的に高まり、法規制の厳格化が進んでいます。かかる状況のもと、住友化学は公務員への賄賂、過剰な接待や贈答品の授受、癒着、横領、背任などのあらゆる形態の腐敗行為の防止をコンプライアンス徹底における最重要課題の一つとして位置づけています。そして、腐敗リスクに適切に対応できる社内体制を充実させることにより、その発生を未然に防止するなど、健全な経営環境を確保することに注力しています。
独禁法遵守・贈収賄防止委員会
住友化学では、腐敗防止の徹底のため、取締役会・監査役会の指導・監督のもと、住友化学グループ全体での腐敗防止体制の構築・運営を担う、独禁法遵守・贈収賄防止委員会(委員長:社長)を設置しています。
同委員会は、社長自らのメッセージで、役職員による公務員への贈賄および役職員による収賄行為(過剰な接待や贈答品の授受、癒着、横領、背任)など、あらゆる形態の腐敗行為禁止についての方針およびコミットメントを示しています。さらに、腐敗防止に関する詳細なルールを記載した「贈収賄防止マニュアル」を制定し、国内外のグループ各社への展開、社内イントラネットへの掲示、定期的な研修などを実施することで、当社およびグループ会社の役職員に遵守を徹底しています。
また、各国における腐敗防止規制や腐敗リスク(取引状況や取引先の所在国など)のアセスメントを実施し、その結果を踏まえ、腐敗防止確保に関する方針や強化策を決定し、当社を含むグループ各社に展開し、運用しています。
独禁法遵守・贈収賄防止委員会 体制図
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贈収賄防⽌マニュアル(要旨)
贈収賄防止マニュアル(要旨)
第1章 基本原則
- 贈賄行為の禁止
政府関係者のほか民間の取引先等も含めた第三者に対する贈賄行為の禁止を規定 - 収賄行為の禁止
収賄行為の禁止を規定。また、賄賂はもちろんのこと、第三者に対する贈答、接待等の要求の禁止を規定 - 過剰な贈答品、接待の授受の禁止
過剰なまたは当社の評判を損ねるおそれのある贈答、接待の禁止を規定
第2章 政府関係者への贈賄禁止
政府関係者に対するあらゆる形式での不当な利益の供与が贈賄となりうること等を規定。さらに、政府関係者への接待・贈答が禁止される状況、政府関係者の工場等への招聘時の手続き、寄付・政治献金に関する手続き、現地法の確認・遵守を規定
第3章 ビジネスパートナー新規起用・継続起用に際しての遵守事項
当社の業務に関連して政府関係者と接触する可能性のあるエージェント、ディストリビューター、コンサルタント等(「ビジネスパートナー」)の新規・継続起用時のデュー・ディリジェンス実施、対価の相当性の確保、ビジネスパートナーとの契約締結等の手続き等を規定
第4章 適正な記録の作成・保持
接待、贈答、ビジネスパートナーへの支払い等に関する適切かつ正確な記録の作成・保持義務を規定
第5章 遵守状況のモニタリング
社内各部での遵守徹底、内部統制・監査部による監査、独禁法遵守・贈収賄防止委員会による取組等を規定。加えて、当社の役職員による違反行為(そのおそれを含む)認知時の報告義務を規定
第6章 違反時の措置
本マニュアルの違反が懲戒対象であることを規定
サプライチェーン全体での取り組み
住友化学グループは、腐敗防止を当社グループのサプライチェーン全体で達成するために、エージェント、コンサルタント、ディストリビューターなどのビジネスパートナーには、新規起用時や契約更新時、ビジネスミーティングなどの際に、定期的に腐敗防止に関する当社の方針について研修を実施するなど周知徹底しています。そして、これを遵守することについて宣誓を受けています。また、起用や更新の度に、デュー・ディリジェンス手続きとして、ビジネスパートナーに会社概要や過去の腐敗問題の有無などについて書面での回答を求め、その回答をもとに腐敗リスクのアセスメントを実施しています。さらに、公共入札取引や開発途上国など腐敗リスクが高い案件におけるビジネスパートナーの起用時には、上記に加え、外部専門家によるビジネスパートナーへの実地インタビューなどを含む、より精緻なリスクアセスメントを行っています。アセスメントの結果、腐敗リスクがあると判断された場合は、ビジネスパートナーへ腐敗防止に関する啓発活動を行うとともに、ビジネスパートナーにおける腐敗防止体制の強化などの是正策の実施を要請し、当社グループもこれを支援します。(是正策の実施が拒否された場合、またはアセスメントの過程で腐敗行為が強く懸念される場合は、そのビジネスパートナーを起用しません。)
その他の施策
以上の施策の他にも、接待や贈答の授受に関する社内規則の運用、各種の決裁手続きや支払手続きの厳正な運用などを通じて腐敗行為の防止に取り組んでいます。
また、腐敗行為またはそのおそれといった事態を早期に把握し、コンプライアンス違反を未然に防止し、早期に是正するため、ビジネスパートナーや取引先など、当社の事業に何らかの関与がある全ての方々が利用可能な内部通報制度(スピークアップ制度。匿名通報可能)を設置し運用しています。さらに、グループ役職員およびビジネスパートナーや取引先などにこの制度の活用について周知しています。
腐敗行為が確認された役職員については、社内規則に照らした上で懲戒の対象となり、ビジネスパートナーや取引先については、その是正を求めるとともに、取引中止などの措置を取ります。
今後に向けて
住友化学グループは、贈収賄をはじめとするあらゆる腐敗を防止するために、今後もサプライチェーン全体でさまざまな取り組みを積極的に進めていきます。