コーポレート・ガバナンス

住友化学は、従来からコーポレート・ガバナンスの向上に尽力してきましたが、コーポレートガバナンス・コードへの対応はもちろんのこと、ガバナンスの一層の向上を目指し、指名・報酬を含む会社の統治機構や実効性の高い取締役会のあり方など、継続的に改善に取り組んでいます。

基本的な考え方

住友化学は、約400年続く住友の事業精神を継承し、自社の利益のみを追わず事業を通じて広く社会に貢献していくという理念のもと、活力にあふれ社会から信頼される企業風土を醸成し、技術を基盤とした新しい価値の創造に常に挑戦し続けることで、持続的成長を実現していきたいと考えています。その実現に向けて、実効性の高いコーポレート・ガバナンスを実現することが重要であると考え、株主を含めさまざまなステークホルダーとの協働、意思決定の迅速化、執行に対する適切な監督、コンプライアンス体制および内部統制システムの充実・強化、ステークホルダーとの積極的な対話を基本とし、次の方針に則って、コーポレート・ガバナンスの強化と充実に取り組んでいます。

  • 当社は、株主の権利を尊重するとともに、株主の円滑な権利行使を実現するための環境整備ならびに株主の実質的な平等性の確保に努めます。
  • 当社は、会社の持続的成長には、株主、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーとの協働が必要不可欠であるとの認識のもと、積極的に企業の社会的責任を果たしていくとともに、社会から信頼される企業風土の醸成に努めます。
  • 当社は、ステークホルダーとの建設的な対話を行うための基盤作りの一環として、信頼性が高く、かつ利用者にとって有用性の高い情報の提供に努めます。
  • 当社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、独立社外役員の役割を重視しつつ、変化する社会・経済情勢を踏まえた的確な経営方針・事業戦略を示すとともに、業務執行に対する実効性の高い監督を実施するなど、取締役会の役割や使命を適切に履行します。
  • 当社は持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主との建設的な対話に努めます。

コーポレート・ガバナンス強化の歴史

年月主な取り組み 役員構成 役員指名 役員報酬 その他
2003年 6月 執行役員制度導入(取締役を25名から10名に減員)    
7月 コンプライアンス委員会設置      
2004年 6月 役員退職慰労金制度廃止       
2007年 5月 内部統制委員会設置      
9月 役員報酬アドバイザリーグループ設置      
2010年 9月 役員指名アドバイザリーグループ設置      
2011年 11月 独立役員の指定に関する基準制定    
2012年 6月 社外取締役1名選任      
2015年 6月 社外取締役3名選任(2名増員)      
10月 役員報酬アドバイザリーグループに代え、役員報酬委員会設置      
役員指名アドバイザリーグループに代え、役員指名委員会設置       
2016年 12月 住友化学コーポレートガバナンス・ガイドラインを制定      
2018年 6月 社外取締役4名(うち1名は女性)選任(1名増員)      
2021年 6月 社外取締役比率3分の1以上の取締役会構成      

コーポレート・ガバナンス体制

コーポレート・ガバナンス体制図(2021年7月1日現在)

機関構成

①取締役会

住友化学の取締役会は、法令、定款、取締役会規程などに基づき、経営方針、事業戦略、経営上の重要事項を決定するとともに、各取締役などから職務の執行状況、財務状態および経営成績などの報告を受け、取締役などの職務執行を監督しています。

また、毎年、取締役会の実効性について分析・評価し、その結果をフォローアップすることによって、取締役会の実効性の確保・向上に取り組んでいます。取締役は、役員指名委員会の答申を受けて取締役会で候補者が指名され、毎年1回株主総会において選任されます。

取締役会の概要

議長 取締役会長

取締役会長は執行役員を兼務していません。

人数 12名  社外取締役比率3分の1以上の取締役会構成となりました。
開催頻度 原則毎月1回

必要に応じて臨時取締役会を開催しています。

取締役の任期 1年

取締役の経営責任とその役割の明確化を図るため、任期を1年に設定しています。

取締役12名の内訳

2020年度の取締役会において議論された主な事項

  • 決算、配当、資金調達
  • 経営戦略、サステナビリティ、取締役会の実効性評価
  • 研究開発、デジタル革新、IT化推進関連
  • 内部統制、レスポンシブル・ケア、リスクマネジメント、コンプライアンス関連
  • 指名、報酬、重要人事、人材の採用・育成
  • 監査役、会計監査人関連
  • 重要投資案件
    • ニューファーム社南米事業買収
    • ロイバント社との戦略的提携
    • ペトロ・ラービグ社の関連案件

など

  • その他
    • 上場子会社の事業運営上の重要事項
    • カーボンニュートラル戦略
    • プラスチック資源循環

など

②監査役会

住友化学は監査役制度を採用しており、監査役5名により監査役会が構成されています。各監査役と監査役会は、取締役の職務執行を法令と定款に従い監査することで、当社のコーポレート・ガバナンスの重要な役割を担っています。監査役会は、原則毎月1回開催され、コンプライアンスに関わる重要な情報を含めタイムリーな情報把握に努めています。

常勤監査役および社外監査役は、取締役会と監査役会に出席し、内部統制・監査部、業務執行部門および会計監査人から適宜報告および説明を受けて監査を実施しています。上記に加え、常勤監査役は内部統制委員会をはじめとするほぼ全ての社内の重要会議に出席しています。

監査結果および社外監査役からの客観的意見については、内部監査、監査役監査および会計監査に適切に反映し、監査の実効性と効率性の向上を図っています。

また、監査役室を設置し、監査役の指揮を受け、その職務を補佐する専任の従業員を配置しています。

監査役5名の内訳

経営上の意思決定・執行および監査に関する経営管理組織

③執行役員

住友化学は、業務執行の迅速化を図るため、執行役員制度を採用しています。執行役員は、取締役会が決定した基本方針に従って、業務執行の任にあたっています。その任期については1年としています。

執行役員37名の内訳

 男性女性合計
日本人 32 1 33
外国人 4 0 4
合計 36 1 37

④経営会議

経営会議は、取締役会に上程される議案や報告事項を含め、経営戦略や設備投資などの重要事項を審議する機関として、経営の意思決定を支えています。構成メンバーは、重要な経営機能を統括もしくは担当する執行役員、常勤監査役および取締役会議長とし、原則として年24回開催されています。

⑤全社委員会

住友化学は、当社ならびに当社グループの経営に関わる重要事項について、広範囲かつ多様な見地から審議する社内会議(委員会)を設置しています。そして、同会議の内容を取締役会へ適宜報告し、取締役会より必要な指示を受けることで、業務執行や監督機能などの充実を図っています。また、内部統制委員会、コンプライアンス委員会、レスポンシブル・ケア委員会などには、常勤監査役もオブザーバーとして出席しています。

当社は、サステナビリティの推進をグループ全体にとっての中核課題と位置づけています。2018年からは、サステナビリティの取り組みをさらに強化するため、サステナビリティ推進委員会を設置しました。また、レスポンシブル・ケア委員会では気候変動問題をはじめとする環境問題への具体施策の検討を行っています。さらに、人権尊重の取り組みをより一層推進するため、2019年度に人権尊重推進委員会を設置しました。

各種委員会の概要と開催実績

名称概要2020年度開催実績
内部統制委員会

内部統制システムの構築・充実のための諸施策を審議し、その実施状況を監督することで、住友化学グループにおける内部統制システムの不断の充実を図っています。

3回
サステナビリティ推進委員会

中長期的な環境・社会課題を、リスクと機会の観点から総合的にとらえ、当社グループのサステナビリティへの貢献を加速する策を提言しています。

2回
レスポンシブル・ケア委員会

気候変動問題など、レスポンシブル・ケア(安全、健康、環境、品質)に関する年度方針や中期計画、具体的施策の策定や、実績に関する分析および評価などを審議しています。

1回
リスク・クライシスマネジメント委員会

地震災害や異常気象による風水害、パンデミック、治安悪化など、個別のリスク・クライシスの対処方針などを審議しています。

7回※3
コンプライアンス委員会

グループコンプライアンス方針および活動計画の審議、ならびに内部通報などへの対応および活動実績など、コンプライアンス体制の運営状況に関する審議をしています。

1回
人権尊重推進委員会

人権に関する啓発の推進および住友化学グループを含めたバリューチェーン全体における人権の尊重に関する施策の立案・実行をしています。

1回

(注)各委員会とも、特定の重要テーマに関する分科会や事務局会議などを別途開催

※3 新型コロナウイルスの感染防止対応を審議したため、例年より回数が増加

役員指名および報酬

⑥役員指名委員会

経営陣幹部※4の選任、取締役および監査役の指名に関する取締役会の諮問機関として役員指名委員会を2015年10月に設置しました。同委員会は、社外役員と取締役会長、取締役社長を構成員とし、毎年1回定期に開催されるほか、必要に応じて随時開催されます。社外役員が過半数を占める同委員会が、役員の選任に際して取締役会に助言することで、役員選任の透明性と公正性のより一層の確保と役員選任手続きの明確化を図っています。

※4 専務執行役員以上の役位の執行役員および社長執行役員の直下で一定の機能を統括する役付執行役員

⑦役員報酬委員会

取締役や執行役員の報酬制度および報酬水準ならびにそれらに付帯関連する事項に関する取締役会の諮問機関として、役員報酬委員会を2015年10月に設置しました。同委員会は、社外役員と取締役会長、取締役社長を構成員とし、毎年1回定期に開催されるほか、必要に応じて随時開催されます。社外役員が過半数を占める同委員会が、役員報酬制度や水準などの決定に際して取締役会に助言することで、その透明性と公正性を一層高めています。

役員報酬の内容(2020年度)

区分

人数

(名)

報酬等の額

(百万円)

報酬等の種類別の額

(百万円)

基本報酬(固定報酬)賞与(業績連動報酬)
取締役(うち社外取締役) 14(4) 702(68) 606(60) 96(8)
監査役(うち社外監査役) 5(3) 116(37) 116(37) ̶
合計 19 818 722 96

(注)上記の人数および報酬等の額には、当期中に退任した取締役1名を含む

両委員会の構成と2020年度の出席状況(出席回数/開催回数)

 役員指名委員会役員報酬委員会
  代表取締役会長 十倉 雅和(委員長) 2/2(100%) 3/3(100%)

  代表取締役社長 岩田 圭一

2/2(100%)

3/3(100%)

  社外取締役 池田 弘一 2/2(100%)

3/3(100%)

  社外取締役 友野 宏 2/2(100%)

3/3(100%)

  社外取締役 伊藤 元重 2/2(100%)

3/3(100%)

  社外取締役 村木 厚子 2/2(100%)

3/3(100%)

両委員会の主な活動内容(2020年度)

役員指名委員会
  • 2021年度の役員体制に関する審議
役員報酬委員会
  • 基本報酬に関する審議
  • 役員賞与に関する審議

経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補者の指名を行うにあたっての方針と手続き

  • 表:経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補者の指名を行うにあたっての方針と手続き

役員報酬※5

1.役員報酬の基本方針

  1. 経営陣幹部および取締役(以下「取締役等」という。)の報酬は、「基本報酬」および「賞与」の2つから構成されるものとします。
  2. 「基本報酬」は、取締役等の行動が短期的・部分最適的なものに陥らぬようにするとともに、会社の持続的な成長に向けたインセンティブとして機能するよう設計します。
  3. 「賞与」は、毎年の事業計画達成へのインセンティブを高めるため、当該事業年度の連結業績を強く反映させるものとします。
  4. 報酬水準については、当社の事業規模や事業内容等を勘案するとともに、優秀な人材の確保・維持等の観点からの競争力ある水準とします。また、その水準が客観的に適切なものかどうか、外部第三者機関による調査等に基づいて毎年チェックします。

2.各報酬要素の仕組み

  1. 基本報酬
    基本報酬は、上記1(4)の方針に基づいて、その水準を決定します。
    基本報酬は各年単位では固定報酬とする一方、「会社の規模」、「収益力」および「外部からの評価」等の観点から総合的かつ中長期的にみて当社のポジションが変動したと判断しうる場合は、報酬水準を変動させる仕組みを採用します。
    ポジションの変動を判断する主な指標は、①「会社の規模」の面では、売上収益、資産合計、時価総額、②「収益力」の面では、当期利益(親会社帰属)、ROE、ROI、D/Eレシオ、③「外部からの評価」の面では、信用格付やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が選定したESG指数を適用することとします。
    なお、各人の支給額は、役位別基準額に基づいて決定します。
  2. 賞与
    賞与は、当該事業年度の業績が一定以上となった場合に支給することとし、賞与算出フォーミュラ(業績指標×係数)に基づいて決定します。
    賞与算出フォーミュラに係る業績指標は、財務活動も含めた当該年度の経常的な収益力を賞与額に反映させるため、連結のコア営業利益と金融損益の合算値を適用します。また、算出フォーミュラの係数は、上位の役位ほど大きくなるよう設定します。
  3. 固定報酬(基本報酬)と業績連動報酬(賞与)の割合
    中期経営計画(2019–2021年度)最終年度の連結業績目標(コア営業利益)を達成した場合、取締役(社外取締役除く)の報酬に占める賞与構成比が概ね30%となるように賞与算出フォーミュラを設計します。

取締役報酬の概念図と2020年度の報酬割合(社外取締役除く)

3.役員報酬決定の手順

取締役の報酬は、2006年6月23日開催の第125期定時株主総会の決議によって定められた報酬総額の上限額(年額10億円以内)の範囲内において決定します。

取締役会は、役員報酬委員会からの助言を踏まえ、役員報酬の決定方法を審議、決定します。また、各取締役等の報酬額は、取締役会の授権を受けた取締役会長 十倉 雅和が、取締役会の諮問機関である役員報酬委員会が答申した基準に基づき決定しています。その理由は、各取締役などの報酬額を定めることは取締役会による合議・審議にはなじまず、役員報酬委員会委員長および取締役会の議長を務め、会社全般を総覧する立場にある取締役会長が、報酬などの決定方針の趣旨や役員報酬委員会における審議およびその答申に基づき決定するのが、より適切だと考えているためです。取締役会は、各取締役などの報酬額の決定権限が取締役会長によって適切に行使されるよう、役員報酬委員会が当社の報酬などの決定方針に整合するものとして答申した基準に基づいて、取締役会長が取締役の個人別の報酬額を決定することを定めています。取締役会長は、当該基準に基づいて個別の報酬額を決定していることから、取締役会はその内容が決定方針に沿うものであると判断しています。

※5 執行役員の報酬についても、同様の考え方で決定している

実質面でのコーポレート・ガバナンス強化の取り組み

取締役会の運営方法の見直し

住友化学は、取締役会のモニタリング機能の一層の強化および経営の透明性・客観性のさらなる向上などを主な目的として、2015年度に取締役会の運営方法やコーポレート・ガバナンスに関する諸施策を抜本的に見直しました。その際、特に重要視したのが社外役員機能の最大限の活用で、その実現のためには、社内役員と社外役員の情報の非対称性を縮小させることが必要不可欠であるとの考えのもと、各種施策を講じてきました。その後も毎年さまざまな改善を重ねた結果、取締役会およびその前後の会議体の運営は下図のとおりになっています。

このような見直しにより、取締役会は年々活性化し、その所要時間は着実に増加しています。

取締役会の平均所要時間

(注)2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、円滑かつ効率的な運営を行ったため減少

社外役員の監督・アドバイザリー機能の活用

社外役員から、住友化学の取締役会は自由闊達で建設的かつ活発な議論が行われているとの評価を受けています。取締役会および取締役会の実効性評価に関する社外役員懇談会の中で、取締役会の運営方法、社外役員のサポート体制、各種コーポレート・ガバナンスの改善施策などについて、社外役員から数々の指摘や助言をいただいています。
具体的な事例としては、以下のとおりです。

他にも、社外役員からの提案やインプリケーションなどに基づき、取り組みを進めた事例が多々あり、社外役員の監督・アドバイザリー機能が当社の絶え間ないコーポレート・ガバナンス強化の推進力になっています。

社外役員からの提案などに基づく取り組み事例

社外役員による事業所視察

住友化学では社外役員が当社の現状をより一層理解できるよう、国内外の事業所視察を毎年開催することとしています。2020年度は、10月に千葉工場において実施しました。この取り組みについて、社外役員からは、当社事業への理解が深まり大変有益であるとの意見を受けています。

(注)予定していた海外グループ会社への視察は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて延期中

近年の視察実績

2017年11月 大分工場
2018年 3月 韓国のグループ会社
2018年 9月 愛媛工場
2019年 2月 サウジアラビアのグループ会社
2019年11月 三沢工場
2020年10月 千葉工場
  • 千葉工場の視察(2020年10月)

取締役会の実効性評価

2019年度の改善状況および2020年度の評価

取締役会の実効性に関する評価については、取締役会の構成、運営状況、取締役会における審議や報告の実施状況、業務執行に対する監督の状況、ならびに任意設置の役員指名委員会、役員報酬委員会の運営の各方面において、各取締役・監査役に対してアンケートを実施しています。2020年度末の実効性評価では、各方面において毎年着実に改善が図られ、総じて良好な水準にあることを確認するとともに、今後も取締役会の実効性を一層高めるべく、取り巻く環境の変化やコーポレート・ガバナンスを巡る動きなども考慮しつつ、種々工夫を凝らして各種の取り組みを継続させていくことを確認しました。

2019年度の評価結果を受けた取り組み

  • 2019年度の実効性評価の結果を踏まえ、2020年度の取締役会およびインフォーマルな懇談会では、以下の重要テーマについて、改善に向けて踏み込んだ議論を行いました。

    • イノベーションの創出・デジタル革新に向けた取り組みの加速
    • カーボンニュートラル戦略策定、プラスチック資源循環事業推進に向けた体制整備
    • ラービグプロジェクト、南米農薬事業買収などの大型投資案件の現状と今後の取り組み
    • 上場子会社の運営のあり方、ダイバーシティや働き方の見直し

今後に向けての取り組み

今後も取締役会の実効性を一層高めるべく以下のような取り組みを継続していきます。

  1. 取締役会の審議のさらなる活性化
    • 社外役員の監督機能と助言機能を最大限に活用する観点から、これまでも社外役員などからの指摘・示唆に基づき鋭意改善を進めてきた結果、取締役会やインフォーマルな懇談会などを含め、長時間にわたり自由闊達な意見交換が交わされるようになっています。2021年度は、2022年度からの新中期経営計画の策定の年でもあり、上記の重要テーマに記載したような取締役会などにおける議論を土台に、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、自らの持続的な成長を実現することができるよう、中長期的な当社の方向性を踏まえた議論を促進する観点から、(ア)重要テーマにより重きを置いた時間配分、(イ)社外役員への事前説明の一層の充実、(ウ)これまでの大型投資案件の進捗状況についてのより充実した検討、(エ)オンライン会議の活用を含めた事業所視察などに取り組みます。
  2. グループガバナンスの一層の強化
    • 海外売上高比率・海外人員比率が上昇し、また南米農薬子会社など新たに当社グループとなった子会社も増えていること、さらにはCOVID-19感染拡大の影響により海外との往来が制限されていることを踏まえ、上記の重要テーマに記載の2020年度までの取り組みに加え、内部統制・コンプライアンス・レスポンシブルケアなどの体制を改めて点検し、デジタル技術も活用して、各社の特性に合ったきめ細かな対応を行うことで、グループガバナンスの一層の強化を図っていきます。

  3. ステークホルダーとの対話強化および情報開示の拡充
    • 当社は、住友化学コーポレートガバナンス・ガイドラインにおいて、ステークホルダーとの積極的な対話および適切な情報開示を謳っており、2020年度は、当社初のESG説明会やIRデイを開催した他、機関投資家協働対話フォーラムを通じ、国内大手機関投資家と協働対話を行うなど、積極的に株主・投資家とコミュニケーションを図ってきました。また、統合報告書である住友化学レポート、サステナビリティデータブック、ウェブサイトなどを通じた情報開示の強化に取り組んだ結果、日経アニュアルリポートアウォード2020優秀賞の受賞に加え、CDPからの「気候変動Aリスト2020」「水セキュリティAリスト2020」への選定、エコバディス社サステナビリティ調査において2年連続「ゴールド」評価を獲得するなど、ステークホルダーからの評価につなげることができました。2021年度も、当社の現状と今後の取り組みについての積極的な情報開示、株主・投資家との対話を積極的に行い、当社の企業価値についてより一層適正に評価されるよう取り組んでいきます。

親子上場

親子上場に対する考え方

子会社の上場には、子会社において「従業員の士気向上」「採用力の強化」「取引先の信用確保」「業界での発言力」などのメリットがあるほか、親会社としても各子会社との連携・協働によるシナジー効果が見込まれます。それらにより、グループ全体の企業価値の最大化が図れる場合においては、親子上場は一つの有効な選択肢だと考えています。ただし、これらは子会社の自律性を確保し、少数株主の権利を尊重することを前提としています。
当社グループの国内上場子会社については、当社グループの経営戦略上で重要な役割を担っているため、現時点では売却することは考えていません。一方で、完全子会社化については、選択肢の一つとして常に念頭にはありますが、上場メリットが享受できなくなることに加え、少数株主からの株式取得による資金面での負担が大きいため、優先度は高くありません。したがって、これらの上場子会社については、現時点では、総合的に見て親子上場が最適な状態であると考えています。なお、当社と各子会社の関係性は常にモニタリングしており、当社グループの経営戦略や事業環境の変化などに応じて、適宜、株式の保有関係を含め見直すこととしています。

上場会社を有する意義

社名 歴史 グループでの位置づけ シナジー

大日本住友製薬

1944年に日本染料製造(株)を合併し、住友化学の医薬品事業としてスタート。
1984年に住友製薬として分社後、2005年に大日本製薬と合併し大日本住友製薬が発足。

同社が中核をなす医薬品事業は、農薬事業と並ぶ当社ライフサイエンス事業の柱であり、イノベーションの源泉。現中期経営計画では、「ヘルスケア」を次世代事業の創出加速に向けた重点分野の一つに位置付けており、今後この分野でのイノベーションを見込む。

  • 当社と同社の研究組織の一部を集約・統合したバイオサイエンス研究所での研究
  • 再生細胞医薬CDMO(同社の再生細胞医薬の知見、当社のCMO事業の知見)
  • セラノスティクス(同社の抗体設計技術、当社の生体メカニズム解析技術、日本メジフィジックスのRI核種技術)
  • 当社事業所構内の立地による品質・生産管理面などでの密接な連携、間接費削減
広栄化学

当社メタノールの最大顧客であった同社との関係構築のため、1951年に資本参加。その後経営危機に陥った同社の再建のため、当社からの役員派遣など連携を強めた。

同社の有機合成技術をベースとした触媒・電子材料などの当社との製造受委託を通じて、グループのファインケミカル分野の事業拡大に貢献。

  • 新規マルチプラントによるグループでの医薬原体中間体生産の最適化
  • 電池材料・添加剤などの初期ステージの共同研究
  • 当社工場構内の立地による品質・生産管理面での密接な連携、間接費削減

田岡化学工業

1955年に当社染料事業の強化のため、同じく染料大手の同社に資本参加。

同社の多様な有機合成技術・多数のマルチプラントを活かした、電子材料・医農薬中間体の当社との製造受委託を通じて、グループのファインケミカル分野の事業拡大に貢献。

  • 同社マルチプラントによる、医農薬中間体の受託拡大

田中化学研究所

2013年に出資し、車載向け高容量正極材料の共同開発を開始。その後、共同開発が順調に進捗していること、および今後の環境対応車市場の成長とともにリチウムイオン二次電池市場が中長期的に大きく成長すると期待されることを踏まえ、2016年に子会社化。

同社の有する前駆体技術と、当社の正極材料に関する知見を通じて新規製品の共同開発を加速させ、グループの正極材事業の本格参入・拡大に貢献。

  • 両社技術の融合による製造プロセスの抜本的合理化、研究開発の効率化
  • 当社の資本参加・指導による、労働災害や内部統制面など、経営管理レベルの向上

実効性のあるガバナンス体制の構築

当社と上場子会社が共同でグループシナジーの最大化に取り組む上で、上場子会社の自律的な意思決定を尊重するとともに、子会社の少数株主との利益相反を起こさないよう、実効性のあるガバナンス体制の構築に最大限努めています。
上場子会社においては、親会社との取引、役員の指名、役員の報酬などについて、独立的・客観的な立場から適切に監督を行うため、下記の対応をとっています。

  • 十分な人数の独立社外取締役を選出
  • 独立社外取締役を構成員の過半数とする役員指名や役員報酬に関する委員会の設置
  • 独立社外取締役のみで構成される、親会社との取引等の監視・監督を目的とした委員会の設置および運用

各社における機関設計、独立社外取締役の登用、および任意の委員会などの設置状況

  • 図:各社における機関設計、独立社外取締役の登用、および任意の委員会などの設置状況

親子上場をテーマとした協働エンゲージメントを実施

実 施 日: 2021年1月13日(水)
対   応: 社長
参加投資家: 7社(一般社団法人 機関投資家協働対話フォーラムが主催)

  • 三井住友トラスト・アセットマネジメント
  • 企業年金連合会
  • 第一生命保険
  • 三井住友DSアセットマネジメント
  • 三菱UFJ信託銀行
  • 明治安田アセットマネジメント
  • りそなアセットマネジメント

親子上場に関する論点について、上記機関投資家7社との協働エンゲージメントを実施しました。事前に、社外取締役・社外監査役を交え、本テーマについて意見交換をした上で、エンゲージメントに臨みました。本エンゲージメントは、親子上場に対するお互いの考え方について理解を深める貴重な機会になったと考えています。引き続き、説明責任を果たしていきます。

政策保有株式

住友化学は、円滑な事業運営、取引関係の維持・強化などを目的として、中長期的な経済合理性や将来見通しを総合的に勘案した上で、必要と判断される場合に限り、株式を政策的に保有します。また、毎年、取締役会において、当社が保有する全ての上場株式について、個別銘柄ごとに中長期的な経済合理性、保有意義を踏まえて保有方針の検証を行います。その上で、事業環境の変化などにより保有の必要性が低下した銘柄に関しては、株価や市場動向などを考慮した上で適宜売却を行います。
日経平均株価※6の上昇に伴い、政策保有株式の評価額も上昇したため、前年度末に比べ期末残高は増加しましたが、下表のとおり、2020年度も前年に引き続き、一部株式の売却を実施しました。

※6 日経平均株価 2020年3月末:18,917円▶2021年3月末:29,179円

政策保有株式※7売却の推移

(億円)

 2019年度2020年度
銘柄数※8 7 11
売却価額 51 130

政策保有株式※7の期末残高

(億円)

 2019年度2020年度
銘柄数
58 54
貸借対照表計上額の合計額 855 978

※7 非上場株式以外の株式

※8 同一銘柄の一部売却を含む

取締役および監査役の専門性と経験