コーポレート・ガバナンス

住友化学は、従来コーポレート·ガバナンスの向上に尽力してきましたが、コーポレートガバナンス·コードへの対応はもちろんのこと、ガバナンスの一層の向上を目指し、指名·報酬を含む会社の統治機構や実効性の高い取締役会のあり方など、継続的に改善に取り組んでいます。

基本的な考え方

住友化学は、約400年続く住友の事業精神を継承し、自社の利益のみを追わず事業を通じて広く社会に貢献していくという理念のもと、活力にあふれ社会から信頼される企業風土を醸成し、技術を基盤とした新しい価値の創造に常に挑戦し続けることで、持続的成長を実現していきたいと考えています。その実現に向けて、実効性の高いコーポレート・ガバナンスを実現することが重要であると考え、株主を含めさまざまなステークホルダーとの協働、意思決定の迅速化、執行に対する適切な監督、コンプライアンス体制および内部統制システムの充実・強化、ステークホルダーとの積極的な対話を基本とし、次の方針に則って、コーポレート・ガバナンスの強化と充実に取り組んでいます。

  • 当社は、株主の権利を尊重するとともに、株主の円滑な権利行使を実現するための環境整備ならびに株主の実質的な平等性の確保に努めます。

  • 当社は、会社の持続的成長には、株主、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとするさまざまなステークホルダーとの協働が必要不可欠であるとの認識のもと、積極的に企業の社会的責任を果たしていくとともに、社会から信頼される企業風土の醸成に努めます。

  • 当社は、ステークホルダーとの建設的な対話を行うための基盤作りの一環として、信頼性が高く、かつ利用者にとって有用性の高い情報の提供に努めます。

  • 当社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、独立社外役員の役割を重視しつつ、変化する社会・経済情勢を踏まえた的確な経営方針・事業戦略を示すとともに、業務執行に対する実効性の高い監督を実施するなど、取締役会の役割や使命を適切に履行します。

  • 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主との建設的な対話に努めます。

コーポレート・ガバナンス強化の歴史

年月主な取り組み 役員構成 役員指名 役員報酬 その他
2003年 6月 執行役員制度導入(取締役を25名から10名に減員)    
7月 コンプライアンス委員会設置      
2004年 6月 役員退職慰労金制度廃止      
2007年 5月 内部統制委員会設置      
9月 役員報酬アドバイザリーグループ設置      
2010年 9月 役員指名アドバイザリーグループ設置      
2011年 11月 独立役員の指定に関する基準制定    
2012年 6月 社外取締役1名選任      
2015年 6月 社外取締役3名選任(2名増員)      
10月 役員報酬アドバイザリーグループに代え、役員報酬委員会設置      
役員指名アドバイザリーグループに代え、役員指名委員会設置      
2016年 12月 住友化学 コーポレートガバナンス・ガイドラインを制定      
2018年 6月 社外取締役4名(うち1名は女性)選任(1名増員)      
2021年 6月 社外取締役比率3分の1以上の取締役会構成      
2022年 6月 社内取締役および執行役員に対する譲渡制限付株式報酬制度導入      

コーポレート・ガバナンスの体制

コーポレート・ガバナンス体制図(2023年7月1日現在)

  • コーポレート・ガバナンス体制の図

1.取締役会

住友化学の取締役会は、法令、定款、取締役会規程などに基づき、経営方針、事業戦略、経営上の重要事項を決定するとともに、各取締役などから職務の執行状況、財政状態および経営成績などの報告を受け、取締役などの職務執行を監督しています。

また、毎年、取締役会の実効性について分析・評価し、その結果をフォローアップすることによって、取締役会の実効性の確保・向上に取り組んでいます。取締役は、役員指名委員会の答申を受けて取締役会で候補者が指名され、毎年1回株主総会において選任されます。

取締役会の概要(2022年度16回開催)

議長 取締役会長

取締役会長は執行役員を兼務していません。

人数 12名 社外取締役比率3分の1以上の取締役会構成となっています。
開催頻度 原則毎月1回

必要に応じて臨時取締役会を開催しています。

取締役の任期 1年

取締役の経営責任とその役割の明確化を図るため、任期を1年に設定しています。

取締役12名の内訳

  • 取締役12名の内訳の図

2022年度の取締役会において議論された主な事項

  • 決算、配当、資金調達
  • 経営戦略、サステナビリティ、取締役会の実効性評価
  • 研究開発、デジタル革新、IT化推進関連
  • 内部統制、レスポンシブル・ケア、リスクマネジメント、コンプライアンス関連
  • 指名、報酬、重要人事
  • 監査役、会計監査人関連
  • 重要投資案件の進捗状況
  • その他
    • 上場子会社の事業運営上の重要事項
    • カーボンニュートラル戦略
    • 人的資本
    • 株主との対話

など

2.監査役会(2022年度15回開催)

住友化学は監査役制度を採用しており、監査役5名により監査役会が構成されています。各監査役と監査役会は、取締役の職務執行を法令と定款に従い監査することで、当社のコーポレート・ガバナンスの重要な役割を担っています。監査役会は、原則毎月1回開催され、コンプライアンスに関わる重要な情報を含めタイムリーな情報把握に努めています。

常勤監査役および社外監査役は、取締役会と監査役会に出席し、内部統制・監査部、業務執行部門および会計監査人から適宜報告および説明を受けて監査を実施しています。上記に加え、常勤監査役は内部統制委員会をはじめとするほぼ全ての社内の重要会議に出席しています。

監査結果および社外監査役からの客観的意見については、内部監査、監査役監査および会計監査に適切に反映し、監査の実効性と効率性の向上を図っています。

また、監査役室を設置し、監査役の指揮を受け、その職務を補佐する専任の従業員を配置しています。

監査役5名の内訳

  • 監査役5名の内訳の図

3.役員指名委員会

経営陣幹部の選任、取締役および監査役の指名に関する取締役会の諮問機関です。取締役を構成員(過半数は社外取締役)とする同委員会が役員の選任に際して取締役会に助言することで、役員選任の透明性と公正性のより一層の確保と役員選任手続きの明確化を図っています。

  • 専務執行役員以上の役位の執行役員および社長執行役員の直下で一定の機能を統括する役付執行役員

4.役員報酬委員会

取締役や執行役員の報酬制度および報酬水準ならびにそれらに付帯関連する事項に関する取締役会の諮問機関です。取締役を構成員(過半数は社外取締役)とする同委員会が、役員報酬制度や水準などの決定に際して取締役会に助言することで、その透明性と公正性を一層高めています。
また、取締役会の授権を受け、経営陣幹部、取締役の個人別報酬額を「経営陣幹部、取締役に対する報酬決定方針」に基づき決定します。

両委員会の構成と2022年度の出席状況(出席回数/開催回数)

 役員指名委員会役員報酬委員会
代表取締役会長 十倉 雅和(委員長) 2/2回(100%) 4/4回(100%)
代表取締役社長 岩田 圭一 2/2回(100%) 4/4回(100%)
社外取締役 池田 弘一 2/2回(100%) 4/4回(100%)
社外取締役 友野 宏 2/2回(100%) 4/4回(100%)
社外取締役 伊藤 元重 2/2回(100%) 4/4回(100%)
社外取締役 村木 厚子 2/2回(100%) 4/4回(100%)

両委員会の主な活動内容(2022年度)

役員指名委員会
  • 2023年度役員体制に関する審議
役員報酬委員会
  • 役員賞与支給に関する審議
  • 役員報酬制度の見直しに関する審議
  • 「経営陣幹部、取締役に対する報酬決定方針・手続き」の改訂に関する審議
  • 役員報酬水準に関する審議
  • 取締役、経営陣幹部の各人別報酬額の審議、決定

5.執行役員

住友化学は、業務執行の迅速化を図るため、執行役員制度を採用しています。執行役員は、取締役会が決定した基本方針に従って、業務執行の任にあたっています。その任期については1年としています。

執行役員37名の内訳(2023年度)

 男性女性合計
日本人 32 3 35
外国人 2 0 2
合計 34 3 37

6.経営会議

経営会議は、取締役会に上程される議案や報告事項を含め、経営戦略や設備投資などの重要事項を審議する機関として、経営の意思決定を支えています。構成員は、重要な経営機能を統括もしくは担当する執行役員、常勤監査役および取締役会議長とし、原則として年24回開催されています。

7.全社委員会

住友化学は、当社ならびに当社グループの経営に関わる重要事項について、広範囲かつ多様な見地から審議する社内会議(委員会)を設置しています。そして、同会議の内容を取締役会へ適宜報告し、取締役会より必要な指示を受けることで、業務執行や監督機能などの充実を図っています。また、内部統制委員会、コンプライアンス委員会、レスポンシブル・ケア委員会などには、常勤監査役もオブザーバーとして出席しています。

当社は、サステナビリティの推進をグループ全体にとっての中核課題と位置づけています。2018年からは、サステナビリティの取り組みをさらに強化するため、サステナビリティ推進委員会を設置しました。また、レスポンシブル・ケア委員会では気候変動問題をはじめとする環境問題への具体施策の検討を行っています。さらに、人権尊重の取り組みをより一層推進するため、2019年度に人権尊重推進委員会を設置しました。

各種委員会の概要と開催実績

名称概要2022年度開催実績
内部統制委員会

内部統制システムの構築・充実のための諸施策を審議し、その実施状況を監督することで、住友化学グループにおける内部統制システムの不断の充実を図っています。

3回
サステナビリティ推進委員会

中長期的な環境・社会課題を、リスクと機会の観点から総合的に捉え、当社グループのサステナビリティへの貢献を加速する策を提言しています。

2回
レスポンシブル・ケア委員会

気候変動問題など、レスポンシブル・ケア(安全、健康、環境、品質)に関する年度方針や中期計画、具体的施策の策定や、実績に関する分析および評価などを審議しています。

1回
リスク・クライシスマネジメント委員会

地震災害や異常気象による風水害、パンデミック、治安悪化など、個別のリスク・クライシスの対処方針などを審議しています。

1回

独禁法遵守・贈収賄防止委員会

国内外の独占禁止法・贈収賄に関する規制の動向や執行事例の確認、当社グループにおける遵守体制の運営状況、それらを踏まえた新たな施策や今後の活動計画の審議等をしています。

1回
コンプライアンス委員会

グループコンプライアンス方針および活動計画の審議、ならびに内部通報などへの対応および活動実績など、コンプライアンス体制の運営状況に関する審議をしています。

1回
人権尊重推進委員会

人権に関する啓発の推進および住友化学グループを含めたバリューチェーン全体における人権の尊重に関する施策の立案・実行をしています。

1回

(注)各委員会とも、特定の重要テーマに関する分科会や事務局会議などを別途開催

実質面でのコーポレート・ガバナンス強化の取り組み

取締役会の運営方法の見直し

住友化学は、取締役会のモニタリング機能の一層の強化および経営の透明性・客観性のさらなる向上などを主な目的として、2015年度に取締役会の運営方法やコーポレート・ガバナンスに関する諸施策を抜本的に見直しました。その際、特に重要視したのが社外役員機能の最大限の活用で、その実現のためには、社内役員と社外役員の情報の非対称性を縮小させることが必要不可欠であるとの考えのもと、各種施策を講じてきました。その後も毎年さまざまな改善を重ねた結果、取締役会およびその前後の会議体の運営は、下図のとおりになっています。

  • 取締役会の運営方法の見直しの図

このような見直しにより、取締役会は年々活性化しており、その結果、所要時間は着実に増加しています。

取締役会の平均所要時間

  • 取締役会の平均所要時間の図

社外役員の監督・アドバイザリー機能の活用

取締役会の運営方法見直しなどの取り組みを進めた結果、社外役員から、当社の取締役会は自由闊達で建設的かつ活発な議論が行われているとの評価を受けています。また、取締役会および取締役会の実効性評価に関する社外役員懇談会の中で、取締役会の運営方法、社外役員のサポート体制、各種コーポレート・ガバナンスの改善施策などについて、社外役員から数々の指摘や助言をいただいており、それらに基づき以下のような取り組みを実施してきました。

社外役員からの提案などに基づく取り組み事例

  • 社外役員からの提案などに基づく取り組み事例の図

ほかにも、社外役員からの提案やインプリケーションなどに基づき、取り組みを進めた事例が多々あり、社外役員の監督・アドバイザリー機能が当社の絶え間ないコーポレート・ガバナンス強化の推進力になっています。

取締役会の実効性評価

取締役会の実効性に関する評価については、取締役会の構成、運営状況、取締役会における審議や報告の実施状況、業務執行に対する監督の状況、任意設置の役員指名委員会、役員報酬委員会、ならびに株主との対話に関して、各取締役・監査役に対してアンケートを実施しています。その結果を参照し、監査役会、社外役員懇談会、経営会議における率直な意見交換を経て、取締役会にて、これらの意見をもとに取締役会の実効性評価に関する総括を行いました。

2022年度の改善状況・評価

前年度の実効性評価において要改善事項として指摘された諸点のうち、①グループ会社のモニタリング、支援指導の充実については、取締役会において重要なグループ会社に関する報告や審議をよりタイムリーに行うとともに、グループ会社を対象に多面的かつ定量的視点による調査を定期的に実施し、その結果を取締役会で報告・確認することにより、実効的なグループガバナンスが確保され、全般的に適切な監督が行われていること、②取締役会などにおける議論の一層の深化については、取締役会における説明・報告に際して、検討過程での議論や指摘事項、判断理由、想定リスクやその対応策などについても説明し、リスク管理を含む社内での意思決定プロセスの一層の見える化を図ること、またインフォーマルな懇談会を定期的に開催し人的資本といった経営上の重要課題について議論することなどにより、取締役会の審議がさらに活性化され、より実効性の高い監督につなげることができていることを確認しました。

今後に向けての取り組み

今後も取締役会の実効性を一層高めるべく、以下のような取り組みを継続していきます。

  1. さらなる企業価値の向上に向けて
    総合化学メーカーならではのメリット実現や、気候変動問題対応をはじめ経済価値と社会価値をともに創出することを目指し、各種施策・目標を着実に実施・達成することはもちろんのこと、そうした当社の経営方針・戦略を幅広いステークホルダーに理解・共感してもらうことが重要であり、そのために、当社の企業価値創造ストーリーについての情報開示やステークホルダーとの対話をより積極的に行い、当社の企業価値が適正に評価されるよう引き続き取り組んでいきます。
  2. グループガバナンスの一層の強化
    経済安全保障や地域紛争、ITセキュリティをはじめとする事業上のリスクの増大を受けてグループガバナンスの一層の強化が求められていることから、グループ会社の管理・監督、監査を担当する各部署が連携して、より効率的かつ実効性の高い対応を実施します。その際、対面およびウェブそれぞれの利点を生かしてコミュニケーションをより充実させるとともに、特に海外子会社については、グループガバナンスの基盤となる当社の経営理念や経営方針、コンプライアンス基本方針などについても理解・浸透を図ります。また、重要なグループ会社については当該会社トップと社外役員 が直接対話する機会を設定し、経営戦略や課題などについてのより深い相互理解につなげていきます。
  3. その他
    実効性評価も踏まえたこれまでの各種取り組みの結果、当社のガバナンスは総じて高いレベルにありますが、今後も、当社の事業形態や経営の方向性、また法制度の動向などを踏まえて、取締役会が果たすべき役割、それらに基づく機関設計の在り方などについてインフォーマルな懇談会も活用しつつ定期的に議論・検討していきます。

経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補者の指名を行うにあたっての方針と手続き

  • 表:経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補者の指名を行うにあたっての方針と手続き

役員報酬(取締役および執行役員に適用)

1.役員報酬の基本方針

  1. 経営陣幹部および取締役(社外取締役を除く。)の報酬は、固定報酬としての「基本報酬」、変動報酬としての「賞与」および「株式報酬」から構成されるものとします。また、社外取締役の報酬は、「基本報酬」および「賞与」から構成されるものとします。
  2. 「基本報酬」は、経営陣幹部および取締役の行動が短期的・部分最適的なものに陥らぬように、職務の遂行に対する基礎的な報酬として、役割や職責に応じた設計とします。
  3. 「賞与」は、毎年の事業計画達成への短期インセンティブを高めるため、当該事業年度の連結業績を強く反映させるものとします。
  4. 「株式報酬」は、株主との一層の価値共有を推進するとともに、会社の持続的な成長に向けた中長期インセンティブとして機能するよう設計します。
  5. 報酬水準については、当社の事業規模や事業内容、ESGなどの非財務的要素も含めた外部評価等を総合的に勘案するとともに、優秀な人材の確保・維持等の観点からの競争力ある水準とします。また、その水準が客観的に適切なものかどうか、外部第三者機関による調査等に基づいて毎年チェックします。
  6. 中期経営計画(2022~2024年度)最終年度の連結業績目標(コア営業利益)を達成した場合、取締役(社外取締役除く。)の報酬構成は、固定報酬と変動報酬の割合が概ね1:1、変動報酬における短期インセンティブ(賞与)と中長期インセンティブ(株式報酬)の割合が概ね7:3となるよう設計します。

〈取締役(社外取締役除く)の報酬構成イメージ〉

  • 取締役(社外取締役除く)の報酬構成イメージ

2.各報酬要素の仕組み

  1. 基本報酬
    基本報酬は、前述の1(5)~(6)の方針に基づいて、その水準を決定します。
    基本報酬は各年単位では固定報酬とする一方、「成長」、「収益力」および「外部からの評価」等の観点から総合的かつ中長期的にみて当社のポジションが変動したと判断しうる場合は、報酬水準を変動させる仕組みを採用します。
    ポジションの変動を判断する主な指標は、1「成長」の面では売上収益、資産合計、時価総額、2「収益力」の面では当期利益(親会社帰属)、ROE、ROI、D/Eレシオ、3「外部からの評価」の面では信用格付やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が選定したESG指数を適用することとします。
    なお、各人の支給額は、役位別基準額に基づいて決定します。
  2. 賞与(短期インセンティブ)
    賞与は、当該事業年度の業績が一定以上となった場合に支給することとし、賞与算出フォーミュラに基づいて決定します。
    賞与算出フォーミュラに係る業績指標は、財務活動も含めた当該年度の経常的な収益力を賞与額に反映させるため、連結のコア営業利益と金融損益の合算値を適用します。
    また、算出フォーミュラの係数は、上位の役位ほど大きくなるよう設定します。

    〈賞与算出フォーミュラ〉

    連結業績指標(コア営業利益+金融損益) × 係数
  3. 株式報酬(中長期インセンティブ)
    株式報酬は、譲渡制限付株式報酬とし、役位別に定めた額に応じた譲渡制限付株式を毎年定時株主総会後の一定の時期に割り当て、在任中はその保有を義務付けます。また、総報酬に占める株式報酬の割合は、上位の役位ほど大きくなるよう設定します。

3.役員報酬決定の手順

取締役の報酬は、2006年6月23日開催の第125期定時株主総会の決議によって定められた報酬総額の上限額(年額10億円以内)の範囲内において決定します。また、取締役(社外取締役を除く。)に対して譲渡制限付株式を付与するために支給する報酬額については、2022年6月23日開催の第141期定時株主総会の決議によって定められた上限額(年額4億円以内)の範囲内において決定します。
取締役会は、役員報酬委員会からの助言を踏まえ、役員報酬の決定方法を審議、決定します。なお、経営陣幹部および取締役の個人別報酬額は、取締役会の授権を受けた役員報酬委員会が、「経営陣幹部、取締役に対する報酬決定方針」に基づき決定します。

役員報酬の内容(2022年度)

役員区分

員数
(名)

報酬等の総額
(百万円)

報酬等の種類別の総額
(百万円)

基本報酬
(固定報酬)
賞与
(業績連動報酬)

株式報酬
(非金銭報酬)

取締役(うち社外取締役) 13(5) 692(66) 532(60) 66(6)

94(―)

監査役(うち社外監査役) 5(3) 122(43) 122(43) ̶ ̶
合計 18 813 654 66 94

(注)上記の員数および報酬等の総額には、当期中に選任した取締役1名を含む

親子上場

親子上場に対する考え方

子会社の上場には、子会社において「従業員の士気向上」「採用力の強化」「取引先の信用確保」「業界での発言力」などのメリットがあるほか、親会社としても各子会社との連携・協働によるシナジー効果が見込まれます。それらにより、グループ全体の企業価値の最大化が図れる場合においては、親子上場は一つの有効な選択肢だと考えています。ただし、これらは子会社の自律性を確保し、少数株主の権利を尊重することを前提としています。
当社グループの国内上場子会社については、当社グループの経営戦略上で重要な役割を担っているため、現時点では売却することは考えていません。一方で、完全子会社化については、選択肢の一つとして常に念頭にはありますが、上場メリットが享受できなくなることに加え、少数株主からの株式取得による資金面での負担が大きいため、優先度は高くありません。したがって、これらの上場子会社については、現時点では、総合的に見て親子上場が最適な状態であると考えています。なお、当社と各子会社の関係性は常にモニタリングしており、当社グループの経営戦略や事業環境の変化などに応じて、適宜、株式の保有関係を含め見直すこととしています。

上場会社を有する意義

社名 歴史 グループでの位置づけ シナジー

住友
ファーマ

1944年に日本染料製造(株)を合併し、住友化学の医薬品事業としてスタート。
1984年に住友製薬として分社後、2005年に大日本製薬と合併し、大日本住友製薬(現 住友ファーマ)が発足。

同社が中核をなす医薬品事業は、農薬事業と並ぶ当社ライフサイエンス事業の柱であり、イノベーションの源泉。現中期経営計画では、「ヘルスケア」を次世代事業の創出加速に向けた重点分野の一つに位置づけており、今後この分野でのイノベーションを見込む。

  • 当社と同社の研究組織の一部を集約・統合したバイオサイエンス研究所での研究

  • 再生細胞医薬製品のCDMO事業(同社の再生細胞医薬の知見、当社のCMO事業の知見)

  • セラノスティクス(同社の抗体設計技術、当社の生体メカニズム解析技術、日本メジフィジックスのRI核種技術)

  • 当社事業所構内の立地による品質・生産管理面などでの密接な連携、間接費削減
広栄化学

当社メタノールの最大顧客であった同社との関係構築のため、1951年に資本参加。その後経営危機に陥った同社の再建のため、当社からの役員派遣など連携を強化。

同社の有機合成技術をベースとした触媒・電子材料などの当社との製造受委託を通じて、グループのファインケミカル分野の事業拡大に貢献。

  • 新規マルチプラントによるグループでの医薬原体・中間体生産の最適化

  • 電池材料・添加剤などの初期ステージの共同研究

  • 当社工場構内の立地による品質・生産管理面での密接な連携、間接費削減

田岡化学工業

1955年に当社染料事業の強化のため、同じく染料大手の同社に資本参加。

同社の多様な有機合成技術・多数のマルチプラントを活かした、電子材料・医農薬中間体の当社との製造受委託を通じて、グループのファインケミカル分野の事業拡大に貢献。

  • 同社マルチプラントによる、医農薬中間体の受託拡大

田中化学研究所

2013年に出資し、車載向け高容量正極材料の共同開発を開始。その後、共同開発が順調に進捗していることおよび今後の環境対応車市場の成長とともにリチウムイオン二次電池市場が中長期的に大きく成長すると期待されることを踏まえ、2016年に子会社化。

同社の有する前駆体技術と、当社の正極材料に関する知見を通じて新規製品の共同開発を加速させ、グループの正極材事業の本格参入・拡大に貢献。

  • 両社技術の融合による製造プロセスの抜本的合理化、研究開発の効率化
  • 当社の資本参加・指導による、労働災害や内部統制面など、経営管理レベルの向上

実効性のあるガバナンス体制の構築

当社と上場子会社が共同でグループシナジーの最大化に取り組む上で、上場子会社の自律的な意思決定を尊重するとともに、子会社の少数株主との利益相反を起こさないよう、実効性のあるガバナンス体制の構築に最大限努めています。
上場子会社においては、親会社との取引、役員の指名、役員の報酬などについて、独立的・客観的な立場から適切に監督を行うため、以下の対応をとっています。

  • 十分な人数の独立社外取締役を選出
  • 独立社外取締役を構成員の過半数とする役員指名や役員報酬に関する委員会の設置
  • 独立社外取締役のみで構成される、親会社との取引等の監視・監督を目的とした委員会の設置および運用

各社における機関設計、独立社外取締役の登用、および任意の委員会などの設置状況

  • 図:各社における機関設計、独立社外取締役の登用、および任意の委員会などの設置状況

政策保有株式

住友化学は、円滑な事業運営、取引関係の維持・強化などを目的として、中長期的な経済合理性や将来の見通しを総合的に勘案した上で、必要と判断される場合に限り、株式を政策的に保有します。また、毎年、取締役会において、当社が保有する全ての上場株式について、個別銘柄ごとに中長期的な経済合理性、保有意義を踏まえて保有方針の検証を行っています。その上で、事業環境の変化などにより保有意義が低下したと認められる銘柄に関しては、株価や市場動向などを考慮した上で適宜売却を行うこととしており、2022年度も前年に引き続き、一部株式の売却を実施しました。

政策保有株式の期末残高の推移

  • 政策保有株式の期末残高の推移の図

取締役および監査役の専門性と経験

住友化学は、総合化学会社として多岐にわたる事業を展開しているため、その経営にはさまざまな分野の専門性やビジネス経験等が必要とされます。このような事業特性に鑑み、当社の取締役会は、企業経営、当社事業、財務・会計、法務・コンプライアンス・内部統制等に関する幅広い知識や豊富な経験、国際経験等を有する者を含め、多様性のあるメンバーで構成することを原則としています。

  • 取締役および監査役の専門性と経験の図