気候変動への対応

★:第三者保証対象項目

地球規模で私たちの生活に大きな影響を及ぼす、極端な気象現象などの気候変動に緩和(温室効果ガスの排出削減と吸収の対策を行う)と適応(既に起こりつつある気候変動影響への防止・軽減のための備えと、新しい気候条件の利用を行う)の両面から対応することと、経済発展を伴う持続可能な社会の実現を両立させることは、最重要な課題の一つです。住友化学グループでは、SDGsのGoal13にも位置付けられている気候変動へのアクションについて、さまざまな角度から取り組んでいます。
また、2017年6月には世界の100社あまりのビジネスリーダーとともに、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)がまとめた「気候変動に関する情報開示を促進する提言」を支持することとしました。本提言の支持を通して、気候変動が住友化学グループに与える影響を再整理し、低炭素経済への移行に向けた持続可能な社会の発展に向け、気候変動対応をはじめとした情報開示を今後も推進していきます。

  • FSB(Financial Stability Board:世界主要25カ国の財務省、金融規制当局、中央銀行総裁などを参加メンバーとする国際機関
  • 十倉社長のTCFDへの署名

    十倉社長のTCFDへの署名

  • 気候変動は社会が直面している最も重要な課題の一つです。住友化学は一グローバル企業として、気候変動の緩和・適応のソリューションを積極的に提供することに尽力しています。気候関連のリスクと機会についてのより良い情報開示が、持続可能な世界の実現に向けた取り組みをさらに加速させると考えています。  住友化学株式会社 代表取締役社長 十倉 雅和

    (英文和訳参考)

マネジメント体制

住友化学の気候変動対応は、レスポンシブル・ケア活動の一つとして実施しています(P23「レスポンシブル・ケア体制」参照)。重要事項はレスポンシブル・ケア委員会で最終決定されますが、取締役会、経営会議、工場長会議、グループ会社社長会議などでも課題を共有し、議論を深めています。
エネルギーや温室効果ガスに関する具体的な諸課題については、担当部長会議、エネルギー管理者会議、地球温暖化に係る部門連絡会、グループ会社情報交換会などで掘り下げた議論を行っています。各種会議の設置により、工場・研究所、事業部門、グループ会社について、エネルギーと温室効果ガスに関してマネジメントするとともに、速やかに必要不可欠な情報共有が確実に行われる体制を整えています。またコーポレート部門の連絡会を通じ、ESG課題としての気候変動対応についても議論と情報共有を進めています。

温室効果ガス削減に向けた取り組み

住友化学の各事業所では、温室効果ガスの排出削減対応として、最新の高効率機器の導入、生産工程の合理化や省力化、より低炭素な燃料やエネルギー種への転換、LED照明の導入、従業員の省エネへの改善提案活動などを推進しています。さらに、専門性が高く、取り組みが難しいクリーンルームなどの設備の省エネについても、専門家と協力しながら取り組みを始めています。これらの活動の状況や情報は、各事業所のエネルギー管理者が一堂に会するエネルギー管理者会議で交換・共有し、全社として温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。2017年度はコジェネレーション設備の導入や蒸気使用量の削減などの取り組みにより、エネルギー原単位指数およびCO2原単位指数は目標に向けて順調に推移しました。

エネルギー消費量および温室効果ガス排出量

2017年度実績より温室効果ガス排出量をGHGプロトコルに準拠して算定しています。

温室効果ガス排出量

 

住友化学および国内グループ会社★

海外グループ会社合計(千トン-CO2e
Scope1排出量 6,107 571 6,678
Scope2排出量 326 755 1,080
合計 6,432 1,326 7,758

(注)住友化学および国内グループ会社に加えて、海外グループ会社1社を含んだ場合のScope1排出量は6,232千トン-CO2e★、およびScope2排出量は638千トン-CO2e
今後、保証対象に含める海外グループ会社の範囲を拡大していく予定

エネルギー消費量

(注)

  • 日本基準:「省エネ法」に基づく算定
  • GHGプロトコル基準に準拠した温室効果ガス排出量を開示したことに伴って、2017年度のエネルギー消費量には、従来算定に含めていなかった住友化学グループが外部に販売した電気や蒸気を生産するためのエネルギー使用量(ただし、エネルギー供給会社である子会社分は2016年度以前も含んでいる)を含めている。また、2017年度より住友化学の非生産拠点のエネルギー使用量を含んでいる

温室効果ガス排出量

(注)

  • 日本基準:「省エネ法」「地球温暖化対策推進法」に基づく算定
  • GHGプロトコル基準では、従来算定に含めていなかった住友化学グループが外部に販売したエネルギー起源のCO2排出量(ただし、エネルギー供給会社である子会社分は2016年度以前も含んでいる)、住友化学の非生産拠点のエネルギー起源CO2排出量、「地球温暖化対策の推進に関する法律」算定対象外の非エネルギー起源CO2排出量を含めている

エネルギー消費原単位およびCO2排出原単位(生産拠点)

エネルギー消費原単位指数

(注)

  • 生産量(トン)当たりの生産拠点におけるエネルギー消費量(kl)を指数化した
  • 住友化学( )は原単位数値
  • 共有化目標への取り組みの一つとして、「省エネ法」に基づいて算出した

CO2排出原単位指数

(注)

  • 生産量(トン)当たりの生産拠点におけるエネルギー起源CO2排出量(トン)を指数化した
  • 住友化学( )は原単位数値
  • 共有化目標への取り組みの一つとして、「地球温暖化対策推進法」に基づいて算出した

Scope3 温室効果ガス排出量

カテゴリ 排出量(千トン-CO2e/年)
1. 購入した製品・サービス★ 1,985
2. 資本財 111
3. Scope1・2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動★ 290
4. 輸送・配送(上流)★ 57
5. 事業から出る廃棄物★ 28
6. 出張 7
7. 雇用者の通勤 8
8. リース資産(上流) <1
9. 輸送、配送(下流) <1
10. 販売した製品の加工 -
11. 販売した製品の使用★ 44
12. 販売した製品の廃棄 945
13. リース資産(下流) -
14. フランチャイズ -
15. 投資 -
合計 3,475

(注)

  • Scope3とは、サプライチェーンでの企業活動に伴う温室効果ガス排出量をカテゴリ別に計算し、合算したもの
  • 住友化学および国内上場グループ会社(大日本住友製薬株式会社、広栄化学工業株式会社、田岡化学工業株式会社)について算出している
  • カテゴリ4は田岡化学工業株式会社を含んでいない

バイオ炭素基金

住友化学は、世界銀行のバイオ炭素基金※を通じて、途上国や貧困国における植林プロジェクトへの出資を行っています。本プロジェクトは、荒廃した土地の回復や水資源の保護、生物多様性の保全、温室効果ガスの削減などに寄与することが期待されています。2005年の参加以降、複数プロジェクトの実現により、当社は延べ約175千トンのCO2排出削減に貢
献することができました。

  • バイオ炭素基金:
    森林保全や植林などのプロジェクトに投資し、CO2クレジット(温室効果ガス削減を目的としたプロジェクトを実施し、その結果生じた削減・吸収量に応じて発行される排出権のこと)を獲得することを目的に、世界銀行が設立した基金

適応に向けた取り組み

気候変動への対応は避けられないという認識のもと、適応に資する製品・技術の開発が注目されています。Sumika Sustainable Solutionsでは、ベクターコントロール製品(気候変動との関連が指摘されている感染症を媒介する害虫を防除する)や土壌改良用菌根菌(干ばつ時に作物の生存期間を30%延長することができるとともに、収穫量向上に貢献する)、高潮や津波に対応する防潮壁用アクリル透明窓など、適応に向けた住友化学グループの製品・技術を多数認定しています。

中でも当社のマラリア防除用蚊帳「オリセット®ネット」は気候変動の影響による感染症(マラリア)増加を防ぐとして、2016年11月にモロッコで開催されたCOP22および2017年11月にドイツで開催されたCOP23や、環境省「気候変動適応情報プラットフォーム」、経済産業省「日本企業による適応グッドプラクティス事例集」などでも紹介されました。

気候変動のリスクと機会に向けた取り組み

気候変動による物理的な影響や、社会システムの移行に伴うリスクの分析により、気候変動が当社の事業にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、また、どのような新たなビジネス機会が見込めるのかをシナリオ分析を通じて検討しています。今後、ホームページや「住友化学レポート」などで情報公開をしていく予定です。

世界の化学会社と共に

住友化学は国際化学工業協会協議会(ICCA)「エネルギー・気候変動」作業部会の議長を務めてきました(2016年6月~2018年6月)。この間、化学製品や化学技術による温室効果ガス排出量削減への貢献に関連する国際共同調査研究をリードするとともに調査研究成果の普及活動などに努めました。

物流における取り組み

住友化学は、モーダルシフト(トラックから海上輸送へのシフトなど、より効率的で環境にやさしい輸送形態への変換)の推進に継続的に取り組んでいます。2017年度のエネルギー消費原単位は、2016年度比で3.4%の減少(改善)となりました。今後も目標としている1%以上の改善を継続していきます。

物流における環境負荷低減の取り組み(住友化学)

エネルギー消費量

CO2の排出量

(注)精度向上のため、過年度に遡及してデータを修正(エネルギー消費量、CO2の排出量)