保安防災

保安防災管理の基本的な考え方

保安防災管理の最大の目的は、火災・爆発・有害物質の漏えいなどの保安事故の未然防止を図るとともに、大規模地震などの自然災害発生時の被害を最小に抑え、従業員と地域社会の安全・安心を確保することです。そのために、自主的な保安管理体制を構築し、研究開発段階や製造プラントに対するリスク評価の徹底、およびリスクに基づく安全対策の強化を継続的に実施しています。

2017年度の保安防災の実績

住友化学グループでは「重大保安事故※の発生件数=ゼロ」の目標に対して、2017年度は重大保安事故は発生せず、目標を達成しました。
一方、重大保安事故には至らない軽微な保安事故は、2017年度には3件発生しました。これらの保安事故の原因や教訓は当社グループ全体に速やかに展開しており、さらなる安全管理強化を推進しています。

  • 重大保安事故:以下のいずれかの事態が発生した保安事故を指す
    • 地域住民の皆さまに通院や加療以上の被害を発生させる事故
    • 構内従業員に休業以上の被害を発生させる事故
    • 設備被害額などが1千万円を超える事故

安全教育

住友化学では、従業員のプロセス安全確保のための知識・スキル習得を支援するために、各層の業務役割を踏まえたさまざまな安全教育を実施しています。また国内グループ会社に対し、各社のニーズに対応した安全教育も実施しています。

安全教育の例

名称 形態 目的
社内安全管理システム教育 eラーニング

安全管理の基本ルール(会社基準「安全管理要領」)の理解・徹底
(2017年度の受講者数:住友化学2,498名)

安全防災理論教育 集合研修

火災・爆発・反応危険・静電気などの保安防災関連の基礎知識の習得
(2017年度の受講者数:住友化学112名、グループ会社12名)

火災・爆発体感研修

集合研修および
自己学習

火災・爆発の体験実習を通じ、自職場の潜在危険性の発見および
トラブルの未然防止のための知識の習得
(2017年度の受講者数:住友化学166名、グループ会社60名)

全社保安教育 集合研修

各年度の最新のトピックスを題材とした研修
2017年度は、米国での爆発事故事例を題材とした教育を実施
(2017年度の受講者数:住友化学623名、グループ会社・協力会社75名)

安全管理

「安全、環境、品質に関する基本方針」に基づき、新規プロセスの研究開発から工業化段階を経てプラントの設計・建設、運転・維持、さらには廃棄に至るまでの各段階で安全・環境に関するリスクアセスメントを実施しています。これらのリスクアセスメントに必要な項目や手順は、会社基準である「開発工業化規則」「化学品安全管理規則」「安全管理要領」などで具体的に定めています。

プロセスのリスク管理(3つのルート)

  1. 新規プロセスの評価
    研究開発から工業化の各ステップで「プロセス安全検討会議(レベル1~5)」を開催しています。この会議には取り扱う化学物質やプロセスの安全性評価結果や安全対策が適切であることを確認するための技術監査的な役割があり、十分な安全性が確認されなければ次のステップに進めない仕組みとしています。
  2. 変更の管理
    プラントの設備改造や運転条件変更などの際には、変更後の安全性を確認するために、必ず変更前に必要な安全性評価を実施しています。この仕組みは、社内での運用はもとより、グループ会社にも周知し、徹底したリスク管理を実施しています。
  3. 既存プロセスの定期的レビュー
    プロセスに変更がない場合でも、プラントの長期使用による影響有無の確認や、最新の技術情報の反映などを目的として、定期的なレビューを実施しています。

    さらに住友化学では、定常運転時に潜むリスク抽出のみでなく、プラントの緊急停止時や停止後の再スタートなどの非定常運転時にも焦点を当て、徹底的に保安リスクを抽出する「保安力強化活動」を2012年から実施してきました。この活動を一過性のものに終わらせないよう、2017年3月改訂の「安全管理要領」に「保安力強化活動」の成果(徹底的な保安リスク抽出のための視点)を仕組みとして取り入れました。

地震対策の推進

住友化学では、2004年に「地震対策の基本方針」を定め、リスクの高い設備や建築物の耐震改修を自主的に進めてきました。さらに最近の「既存設備に対する耐震性向上」の行政指導に基づき、重要度の高い高圧ガス設備に対する耐震改修計画を作成し、計画に従って耐震改修工事や建て替え工事を実施しています。また、これらの工事を行うまでは、設備内の高圧ガスの保有量を減らして重量を軽減することで耐震基準をクリアする、圧力を下げて工場敷地外に影響を及ぼさないようにするなどの、保安確保のためのリスク低減対策を実施しています。

物流の安全確保の取り組み

住友化学は、当社とグループ会社の物流協力会社(84社、114拠点)と物流パートナーシップ協議会を組織運営しています。当協議会には工場地区ごとの部会や、全国規模の中継地関連業務(輸送・保管など)および海上輸送関連業務それぞれに部会があり、その中で物流部門独自のレスポンシブル・ケア活動を展開しています。特にタンクローリーなどによる危険物輸送では、ローリー乗務員コンテストや研修会を全国規模で毎年開催し、荷卸し作業における基本動作およびトラブル発生時の対応について訓練しています。2017年度は、2016年度に続き2年連続で休業災害を0件とすることができました。今後も災害ゼロを目指してさらなる改善諸施策を実施していきます。

物流部門管轄の休業災害(国内)

  2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度

件数

1 1 3 0 0

(注)住友化学の事業所構内で発生した物流関連事故および主要な物流協力会社が事業所構外で発生させた事故のうち、休業災害

「産業保安に関する行動計画」への取り組み

石油化学工業協会では、業界団体が一丸となって、より一層の保安・安全を推進するための「産業保安に関する行動計画」を2013年7月に策定しました。この行動計画に基づく住友化学の取り組みを紹介します。

  • 企業経営者の産業保安に対するコミットメント
    • 中期経営計画の重要経営課題の1つに「コンプライアンスの徹底、安全・安定操業の確立と継続」を掲げています。
    • 毎年7月1日から開催される「全国安全週間」に合わせ、社長安全週間メッセージを全従業員および国内外のグループ会社に発信しています。
    • 2012年度から「社長職場安全表彰制度」を継続実施しています。
  • 産業保安に関する目標設定
    • 「休業災害ゼロ」「重大保安事故ゼロ」などの目標を設定し、目標達成に向けたさまざまな取り組みを実施しています。
  • 産業保安のための施策の実施計画の策定
    • 非定常運転時に対しても徹底的に保安リスクを抽出する活動を進めています。
  • 目標の達成状況や施策の実施状況についての調査および評価
  • 自主保安活動の促進に向けた取り組み
    • 住友化学グループとして遵守する基本事項として「安全に関するグラウンドルール」を制定し、当社グループの安全文化の向上を図っています。
    • 全社で一斉に安全を考える日として、月1回「全社安全の日」を設定しています。
    • 学識経験者によるセミナーや、保安力向上センターによる保安力評価を実施しています。

今後に向けて

「安全をすべてに優先させる」という基本理念に基づき、住友化学グループの従業員一人一人が主体的・能動的に安全行動に努めることを徹底していきます。また、既存のリスクアセスメント手法の改良や、グループ会社に対するリスクアセスメント手法の指導・支援などの取り組みを充実させるとともに、「指示・対策事項が徹底されているか、各層管理者が三現主義に基づき確認すること」「作業者の徹底確認コンピテンシーを強化すること」「チーム作業における仲間の不安全行動を相互注意すること」「基礎知識・経験を蓄積し、スキルアップすること」を、当社グループ全体に改めて周知・徹底し、安全管理レベルのさらなる向上を図っていきます。

  • 三現主義:「現場」に出向いて「現物」に直接触れ、「現実」をとらえること