技術・研究開発

基本的な考え方

住友化学を取り巻く事業環境の不確実性が増すなか、環境、エネルギーや食糧問題などの社会課題の解決に対する化学産業の果たす役割は大きく、当社の事業機会も拡大しています。
当社は、以下の基本方針のもと、技術・研究開発を行っています。

基本方針

  1. 開発テーマの早期事業化
  2. 次世代事業の基盤構築
  3. 継続的にイノベーションを創出するシステムの構築と運用
  4. 事業(化)戦略と知的財産戦略に基づく研究開発の推進

住友化学の研究開発の強み

住友化学は、長年にわたる広範な研究活動を通じて培った技術を昇華させ、触媒設計、精密加工、有機・高分子材料機能設計、無機材料機能設計、デバイス設計、生体メカニズム解析という、「6つのコア技術」を育ててきました。これらのコア技術を活かし、世界の社会課題やトレンドに対する新たなソリューションを生み出すべく研究開発に取り組んでいます。「創造的な研究開発こそが新たな時代を築いていく」という信念のもと、今後もソリューション開発力の強化に努めていきます。
また、素材・材料の開発にとどまらず、ダウンストリーム事業や異業種への展開も視野に入れた「マテリアル・ソリューション・ビジネス」へのつながりを重視しており、研究開発の成果を高い効率とスピードをもって高付加価値事業に結びつけるため、国内外の大学や異業種企業との連携にも積極的に取り組んでいます。

6つのコア技術

  • 6つのコア技術の図

次世代事業の創出を加速する住友化学のイノベーションエコシステム

重点4分野における研究開発・事業開発を、着実に次世代事業の創出につなげるため、住友化学では、イノベーションエコシステム(継続的にイノベーションを創出するシステム)を構築しています。
重点4分野の中で注力すべき強化領域を策定し、各強化領域において、当社が保有するコア技術と非保有コア技術を見極め、非保有技術についてはスタートアップやアカデミアとの連携により獲得しています。事業コンピテンスについても、不足する部分を外部企業やスタートアップとの提携・出資などにより補完して、当社の強みを活かしたビジネスモデルを設計し、テーマ化を検討しています。テーマを推進する各段階においては、社内関係部門、外部連携先、顧客と密接なコミュニケーションを取り、そのフィードバックを適切に反映することにより、研究開発を推進しています。また、開発加速のためにAI・MIなどのデジタル技術を徹底的に活用します。さらに、テーマ推進およびパートナーとの対話の中で新たに生まれたアイデア・技術も取り込みながら、継続的なイノベーション創出につなげていきます。

  • マテリアルズ・インフォマティクス

イノベーションエコシステム

  • イノベーションエコシステムの図

ステージゲート管理制度

テーマ化の検討において、2019年度よりコーポレート研究テーマのステージゲート管理制度を本格的に導入し、研究テーマをアイデア段階から事業化まで、4段階に分けて管理しています。初期段階のフェーズ0と1を合わせて「インキュベーション」、研究の進んだフェーズ2と3を「開発・工業化」ステージとし、社内で提案されるアイデア段階のテーマは、積極的にフェーズ0として取り入れます。一方、各フェーズでのゲート通過の要件を明確化し、研究部門だけではなく事業部門とも深く協議しながら通過可否を判断しています。これにより、新規テーマの創出や将来性を加味した中止判断なども速やかに行えるようになりました。過去3年間では、テーマの創出や中断・事業部門への移管により、研究テーマの半数程度が入れ替わるなど、新陳代謝が活発になっています。

ステージゲート管理制度の全体像

  •  ステージゲート管理制度の全体像の図