スミカスーパー LCPの用途「コネクター」

コネクター用途のためのグレード選定ガイド

材料に要求される特性

LSI…プリント基板や基板…ケーブル、基板…基板等を接続する“コネクター”は昨今の電気製品の軽薄短小化、高性能化に伴い、小型・多極化しています。さらに、基板への実装方法も、240~260℃の高温雰囲気下でハンダ付けする“表面実装方式” (SMT : Surface Mount Technology)に切り替わりつつあります。このため、コネクターには精密成形性と耐熱性に優れるLCPが多く用いられています。

ただし、LCPには異方性が大きいという欠点があります。 LCPを使用したコネクターは射出成形によって生産されますが、この際、金型内での樹脂の流れ方向(MD : Machine Direction)とその垂直方向(TD : Transverse Direction) で成形品の収縮率が異なるために“反り”が発生します。反りが発生すると、SMT工程で、ハンダ付け不良が発生するため好ましくありません。

図1 コネクターの反りによる実装不良

図1 コネクターの反りによる実装不良

LCPは異方性のある樹脂です。このため、充填材なしの状態では使用することが困難です。そこで、この異方性を緩和するために、GFや無機フィラー等の充填材を配合します。通常の樹脂はGF等の充填材を入れると異方性が大きくなりますが、LCPの場合は異方性が緩和されるという大きな違いがあります。

コネクター用途のためのグレード選定ガイド

スミカスーパー LCPのコネクターガイドには、GFや無機フィラー等の充填材を配合したものが準備されています。これらのグレードを選択する上で注意が必要なのは、コネクターの形状(特に成形品の肉厚)によって適切な(反りの少なくなる)グレードが異なるということです。
選定例を図2に示します。

  • 比較的肉厚で長尺のDIMMソケット:E6007LHF
  • 平板状で多極のPGAソケット:E6807LHFやE6808LHF
  • 平板状で穴やリブがないPCMCIA、メモリーカード等のカードコネクター:E6810LHF
  • 低背薄肉のBoard to Boardコネクター:E6808UHF
  • 各種ファインピッチコネクター:SZ6506HF

図2 スミカスーパー LCPコネクター用グレードの位置づけ

図2 スミカスーパー LCPコネクター用グレードの位置づけ

■一般物性
表2に当社一般グレードの物性を示します。なお、表中の反り量は当社所有のモデル金型を用いて評価しましたので、実際の反り量とは異なります(従来グレードとの相対比較が可能)。

表2 スミカスーパー LCPコネクター用グレードの一般物性

  測定方法 単位 E6007LHF E6807LHF E6808LHF E6808UHF E6810LHF SZ6506HF
フィラー - - GF GF/無機 GF/無機 GF/無機 GF/無機 無機
GFの種類 - - チョップド チョップド チョップド ミルド チョップド -
充填量 - % 35 35 40 40 50  
比重 ASTM D792 - 1.65 1.67 1.70 1.72 1.82 1.63
成形収縮率 MD 住化法 % 0.20 0.11 0.17 0.22 0.13 0.22
TD % 0.60 0.63 0.40 1.02 0.38 0.47
引張強度 ASTM D638 MPa 157 134 130 100 105 127
引張伸び率 % 5.1 4.5 4.5 5.0 4.0 6.1
曲げ強度(6.4mmt) ASTM D790 MPa 158 145 140 120 133 140
曲げ弾性率(6.4mmt) GPa 11.8 12.1 12.5 9.4 12.6 11.9
アイゾット衝撃強さ ASTM D256 J/m 251 343 270 350 200 360
荷重たわみ温度(1.82MPa) ASTM D648 269 270 270 240 266 245
ハンダ耐熱性 住化法 300 295 280 290 280 280

各グレードの反り特性

  • 長尺コネクターの反り量の測定方法
    図3に示すモデル金型を用い、反り量を測定しました。結果は、図4のとおりです。

図3 モデルコネクターの概略図

図3 長尺コネクターの反り量の測定方法

図4 各グレードでのモデルコネクターの反り量

図4 長尺コネクターの反り量
  • 円盤の反り量の測定方法
    図5に示すモデル金型を用い、反り量を測定しました。結果は、図6のとおりです。

図5 円盤の概略図

図5 円盤の反り量の測定方法

図6 各グレードの円盤の反り

図6 円盤の反り量
  • IRリフロー前後での長尺コネクターの反り量
    IRリフロー前後での長尺コネクターの反り量を図8に示します。
    (温度プロファイルは図7参照)

図7 IRリフローの温度プロファイル

図7 IRリフローの温度プロファイル

図8 IRリフロー前後での長尺コネクターの反り量

図8 IRリフロー前後での長尺コネクターの反り量

成形条件

表3に標準的成形条件を示します。

表3 標準成形条件

  E6000HF シリーズ、SZ6000HF
乾燥条件 約130℃×4~24時間
シリンダ温度(℃) 後部 280~320
中央部 320~340
前部 340~360
ノズル 340~360
適切な樹脂温度(℃) 350
金型温度(℃) 40~120
射出速度 中~高速
射出圧力(MPa) 80~140
保圧(MPa) 20~40
スクリュ背圧(MPa) 1~5
スクリュ回転数(rpm) 50~100
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