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島根大学と住友化学、二酸化炭素からメタノールを合成する共同研究を推進 ~持続可能な社会の構築に向けて、炭素循環の実現を目指す~

2020年09月10日

国立大学法人島根大学
住友化学株式会社

国立大学法人島根大学(以下、「島根大学」)と住友化学株式会社(以下、「住友化学」)は、このたび、二酸化炭素からメタノールを実用化に見合うレベルで高効率に合成する共同研究(以下、「本共同研究」)を推進することといたしました。

メタノールは、エチレンやプロピレンといった低級オレフィンを製造する原料として広く使用されているほか、合成樹脂や接着剤、薬品、塗料など化学品の基礎原料です。世界で年間約8,000万トンの需要があり、現在は、化石資源である天然ガスや石炭ガスを主原料に、高温高圧下で複数の製造工程を経て生産されています。

気候変動対応が世界的に喫緊の課題となる中、企業やアカデミアは、温室効果ガス削減を目指して、炭素循環の実現に資する技術開発に取り組んでいます。メタノールについては、ごみの焼却処理により発生する二酸化炭素と再生可能エネルギー由来の水素を原料として合成すれば、温室効果ガス排出量の削減と有用な工業製品の生産を同時に達成することができます。また、合成ガス(一酸化炭素、二酸化炭素および水素の混合ガス)からも製造ができるため、地域の使用済みプラスチックやバイオマス資源を合成ガスに変換し、この合成ガスを原料としてメタノールを得ることで、炭素循環の実現が可能となります。

二酸化炭素を原料としたメタノール合成の実用化に向けた課題として、メタノールの収率が低いことや反応で副生する水蒸気による触媒劣化が知られていますが、近年、この課題を克服する技術として、島根大学総合理工学部の小俣光司教授が開発する反応収率を向上させるプロセス技術が注目を集めています。本共同研究では、島根大学は、引き続き触媒とプロセスの基礎技術の開発を進め、住友化学は、その基礎技術をもとに触媒とプロセスの工業化に取り組み、高効率なメタノールの合成反応の確立を目指します。

島根大学は、大学憲章において「自然と共生する豊かな社会の発展に努める」ことを謳っており、知と文化の拠点として培った伝統と精神を重んじ、「地域に根ざし、地域社会から世界に発信する個性輝く大学」を目指します。また、21世紀の知識基盤社会においては、新たな知の創出と知の活用によるさらなる科学技術の発展が求められていることから、従来の枠組みを超えた分野間の有機的な連携を図るとともに、新たな科学技術の開拓を通して社会の持続的発展に寄与していきます。

住友化学は、経営として取り組む重要課題(マテリアリティ)の一つに「環境負荷低減への貢献」を掲げています。本年4月には、石油化学品研究所(千葉県袖ケ浦市)に環境負荷低減技術開発を行う研究グループを新設し、オープンイノベーションを積極的に推進しながら、炭素循環技術や温室効果ガス排出削減技術など、社会課題を解決するソリューションの開発を加速させています。

島根大学と住友化学は、本共同研究を通じて高効率なメタノールの合成反応プロセスを完成させ、二酸化炭素と使用済プラスチックを資源とした炭素循環を確立して、持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

以上

本件に関するお問い合わせ先

  • 国立大学法人島根大学 
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    rsd-chiiki@office.shimane-u.ac.jp

  • 住友化学株式会社
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    FAX 03-5543-5901
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