研究開発論文

1996年度

住友化学 技術誌 1996-Ⅱ(1996年11月29日発行)

アルミナは世界で最も広く使用されている酸化物粉末である。新しい粉末合成技術により、理想に近いアルミナ粉末“スミコランダム”を開発した。粒子径が精密制御されたスミコランダムは、アルミナの世界を変えていく可能性を秘めている。スミコランダムの優れた特長と応用を紹介する。
(page 4~14 by 毛利 正英、田中 紳一郎、内田 義男、沢辺 佳成)

従来、雄性生殖能力は被験物質を投与した後に雌動物との交配試験を行い評価してきたが、近年この方法はヒトの安全性評価系として検出感度が低いとの指摘を受けるようになった。毒性試験ガイドラインの国際的ハーモナイゼーションを契機に、適切な雄性生殖毒性検出法を確立するため、厚生省は国立衛生試験所および民間16企業の研究機関による共同研究班を組織した。本報告ではこの共同研究への参画を中心として実施してきた雄性生殖毒性評価法の確立について記述した。
(page 15~24 by 佐々木 まどか、内海 透、樋口 敏浩、川村 聡、奥野 泰由、甲田 彰、細川 俊治、松尾 昌季、加藤 暉成)

住友化学が開発上市した白蟻用新規マイクロカプセル剤(バクトップMC)の開発の経緯、物性、取り扱い性、効力、毒性および作業者・居住者安全性についてまとめた。
(page 25~32 by 大坪 敏朗、藤本 いずみ、角田 泰)

食品包装材料に多用される押出ラミネートフィルムの製造において、基材フィルムと溶融樹脂の接着にはアンカーコート(AC)剤が必須である。有機溶剤を用いるAC処理接着技術は、作業環境面や安全面から改善が求められている。住友化学は基材の表面活性化処理と溶融樹脂のオゾン処理技術を組み合せることで、AC剤を用いる場合と同等の接着性が得られるノンアンカー押出ラミネート加工技術を開発した。
(page 33~43 by 林田 晴雄、石橋 文男、高畑 弘明、後藤 裕嗣)

モデリング技術は対象プロセスをモデル化しコンピュータ処理によってその構造の明確化、定量的把握を可能とし、あるいは運転を自動化できるものである。ここではプロセスシミュレーション技術、熱流動解析技術、プロセス制御技術について最近の動向を述べた。応用例の紹介として蒸留搭制御系設計、トータルプラント最適化、酸化反応器流動解析、製品銘柄切り替え運転、フィルム延伸装置の設備改良・高度制御について述べた。
(page 44~53 by 森 章)

住友化学 技術誌 1996-Ⅰ(1996年5月31日発行)

スミショートは、水稲の節間伸長を抑制し、その倒伏を軽減する植物成長調整剤「ウニコナゾールP」を含有する肥料である。幼穂形成期穂肥(出穂前25日頃)として施すことにより、良食味品種の倒伏を軽減し、安定多収がはかれる。スミショートは5銘柄あり、N成分量1.0~5.6kg/10aの範囲で最適な銘柄を選択できる。1985年から93年までの8年間にわたり、全国各地で実施された圃場試験成績197点をとりまとめ、スミショートを取り入れた施肥体系を提案する。
(page 4~16 by 大内 誠悟、西川 章、岡田 昭二)

スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)の構造と物性、材料開発と応用例ならびに最近の技術開発状況について、当社で扱っているLCP、PES、PEEKについてのデータを中心に解説した。
(page 17~28 by 野村 秀夫、永野 聡、前田 光男、永嶋 徹、浅井 邦明)

装置および試料調製技術の進展によって、電子顕微鏡による高分子材料の構造解析上の困難が克服されてきた。その結果、形態観察から元素分析、さらに形態変化のその場観察が可能になった。そのうえ、近年実用化された走査プローブ顕微鏡によって、表面の微細構造に対応した物性測定までもが可能になりつつある。本稿では、電子顕微鏡を中心とした高分子材料の構造解析技術の現状と今後の展望を述べる。
(page 29~38 by 内海 晋也、小島 啓太郎、仲嶋 正樹)

19世紀になって化学合成により香料が製造されるようになり、合成香料の分野が大きく発展した。現在では、いろいろな分野で、香料は無くてはならない存在になっている。本稿では、香料分の概説を行うと共に、住友化学においてこれまで開発を行ってきた4品目の香料について報告する。
(page 39~43 by 田中 慎、関口 将人、清水 浩、東尾 保彦)

有機合成での2大命題“What to make?”、“How to make?”に対応して、コンピュータが如何に駆使されているのか。研究開発の流れに沿って、(1)電子情報データベースに基づく情報調査、(2)コンピュータケミストリーにおける分子設計と合成ルート設計、(3)合成実験自動化における合成ロボット、(4)スペクトル解析に基づく分子構造自動決定、そして、(5)革命的創薬手法としてのコンビナトリアル・ケミストリー等につき、一部当所の状況も紹介しながら、世界の最新動向を概説する。
(page 44~50 by 銅金 巖、佐藤 洋)

遺伝子工学的手法により調整した酵母内発現ヒトP450を用いた薬効・毒性評価系について、(1)性能評価、(2)遺伝的多型と遺伝子診断、(3)ヒト代謝物予測とP450分子種同定、(4)薬物相互作用予測、(5)人工疑似肝臓(ミクロソームカクテル)の利用、(6)P450抗体の利用などを例に、医・農薬および一般化学物質の安全性評価への応用について述べた。
さらに、今後の代謝・毒性研究のあり方について、生化学的分子生物学的観点から展望した。
(page 51~60 by 斯波 久二雄、松井 正義、駒井 浩一郎、吉野 浩美、斎藤 幸一、金子 秀雄、中塚 巌)

高純度薬品を用いたシリコンウエハーの洗浄技術について報告する。特に洗浄液中の金属不純物のウエハーへの付着挙動や、付着微粒子の除去挙動について得た知見と、洗浄方法の改良について検討した結果を紹介する。
(page 61~70 by 高島 正之、讃良 憲一)

当社の農薬マイクロカプセルの製造上のポイントは、マイクロカプセル剤の粒子制御、重合反応制御、非ニュートン流体の撹拌混合条件設定、マイクロカプセル破砕対策等が上げられる。その中で、連続分散機を用いた粒子制御のための操作因子として、分散機内液循環回(パス回数)を一定として、相関パラメータとして、翼先端速度、ウェーバー数を比較した。この結果、翼先端速度をパラメータとしてスケールアップ可能であることを見い出した。
(page 71~76 by 高橋 邦壽)

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