技術誌 住友化学

2019年度

住友化学 2019(2019年7月31日発行)

住友化学(株)が開発したクメンを酸素キャリアーとするプロピレンオキサイド(PO)製法は、非常に高いPO収率が得られるとともに運転安定性に優れたPO製法として各方面から高い評価を受けている。本稿では、PO製造技術の動向について解説するとともに、ライセンス活動状況や住友化学PO製法の特徴についても紹介する。
( page 4~11 by 川端智則、山本純、小池弘文、吉田周平 )

住友化学(株)により開発された新規ピレスロイド系殺虫剤モンフルオロトリンは、イエバエおよびチャバネゴキブリに対して、汎用的なエアゾール用ノックダウン剤テトラメトリンのおのおの約20倍(KT50(min))、約30倍(KT50(min))の極めて高いノックダウン活性を示すだけでなく、ノックダウンした虫が速やかに静止するという、これまでのピレスロイドには見られない優れた性能(フリージング効果)を有しており、新しいエアゾール用ノックダウン剤として、当社の主力製品になるものと期待されている。本稿では、モンフルオロトリンの発明の経緯、物性および安定性、効力、製造法および安全性について報告する。
( page 12~23 by 森達哉、大下純、山田将弘、田中嘉人、広田将司、宮田かおり、田淵美穂 )

化学物質による “皮膚感作性(かぶれ)” は、労働環境の維持管理および一般消費者の安全確保の観点で社会的関心の高い疾患の一つである。近年、皮膚感作性の評価では、動物を用いた試験から動物を用いない試験(動物実験代替法)への置き換えが強く求められている。既に複数の動物実験代替法が開発され、各国の規制に活用されつつある。本稿では、皮膚感作性について概説した上で、国際的な規制動向および新しい評価手法、それを踏まえた社内対応ならびに今後の展望について紹介する。
( page 24~36 by 須藤英典、檜垣環、北野紗季、奥田優、堀江宣行、山口尊史 )

欧州連合の単一市場設立のために、植物保護剤の上市に関する指令 91/414/EECおよびバイオサイド製品の上市に関する指令98/8/ECが採択され、農薬およびバイオサイドに関して、域内での調和のとれた規制が実現された。その後、上記の植物保護剤およびバイオサイド製品の指令は、それぞれ規則1107/2009および規則528/2012に置き換えられた。本稿では、植物保護剤やバイオサイド製品の活性物質に関する承認審査手順と承認基準等の変遷について概説する。
( page 37~48 by 原田浩子、龍みを、太田美佳 )

抗菌薬に対する耐性菌の出現と蔓延は世界的な問題であり、国家・国際レベルでの対策が必要とされている。(学)北里研究所および大日本住友製薬(株)は、共同研究「KS-プロジェクト」を通じて、従来にない独創的なアプローチを用いて画期的な薬剤耐性菌感染症の治療薬を提供することを目指している。本稿では、薬剤耐性菌の世界的な問題およびCiCLEを活用した我々のプロジェクトについて報告する。
( page 49~54 by 日髙淳、竹本浩司、志水勇夫 )

バックナンバー

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