研究開発論文

1994年度

住友化学 技術誌 1994-Ⅱ(1994年11月29日発行)

スミカクリーンEDは、主として高速道路の透明遮音板用に開発したメタクリル樹脂板であり、耐衝撃性、耐風圧性、遮音性、耐候性、耐汚染性等に優れるという特徴を有している。このように優れた特徴を有するスミカクリーンEDの開発経緯について述べるとともに、スミカクリーンEDの諸性能を紹介する。
(page 4-13 by 比延田和夫、落合伸介、徳山恒一、赤田勝巳)

樹脂製コンクリートパネル「カタワーク」は合板製型枠の代替材料として、ガラス繊維強化ポリプロピレンを主材料として開発された。大型成形品の一体同時成形が可能なSPモールド技術を用いて成形することにより、変形の少ない、強度、耐候性、加工性に優れた製品が得られた。従来の合板製型枠、鋼製型枠と比較して軽量、施工性、リサイクル性などの面で優れる。また合板を代替することで地球環境保護に大きく寄与する製品である。
(page 14-19 by 原 孚尚、山蔦浩治、中村之人、大村吉典)

低分子量EVAを変性して得た櫛形ポリマーポリオールは、樹脂・ゴムとの混合性、機能発現性から種々の応用が可能である。本稿では、櫛形ポリマーポリオールを主成分として設計した樹脂用添加剤スミエードによる加工性改良、永久帯電防止性付与、ならびにゴム用添加剤スミガードによるブルーム防止、金型汚染防止についての応用例を中心に紹介する。
(page 20-28 by 山口 登、原寿三男、藤木 徹)

スミカロンブリリアントレッドS-BWFは、ベンゾジフラノン系に属する新規赤色分散染料であり、良好な染着性と優れた湿潤・洗濯堅牢度を特徴とする。この染料の発明は、分散染料の湿潤堅牢度の解析とベンゾフラノンの化学に関する詳細な検討に基づいている。本稿では、ベンゾジフラノン染料の染色力における定量的構造性能相関、新規合成法の開発および本染料の主要な性能について紹介する。
(page 29-40 by 植田泰嘉、山本陽介、勝田修之)

画像解析装置(マジスキャン)を応用した染色体異常観察システムを構築した。システムは、染色体標本上の分裂中期像を自動的に検出する本体と、検出した分裂中期像の位置を顕微鏡下で自動的に再現する観察用のサブシステムからなり、システムの導入により観察作業の省力化が達成された。本稿ではシステム開発の経緯、従来法との比較、今後の展開について紹介する。
(page 41-49 by 原 正樹、小田原恭子、山本圭介、中塚 巌)

計算機による材料設計で用いられる代表的な手法を簡単に解説し、高分子材料分野、光電材料分野、表面及び触媒分野での材料設計の現状について述べ、その展望にも言及した。
(page 50-65 by 後藤文郷、石飛昌光、遠藤智明、石田雅也、中園明子、善甫康成、吉田元二)

住友化学 技術誌 1994-Ⅰ(1994年5月30日発行)

優れた紫外線遮蔽性能を有する薄片状酸化亜鉛について、製法、特徴、紫外線遮蔽機構と応用例としての化粧品に用いた場合の特性について解説した。
(page 4-13 by 山本和夫、原川正司、藤井秀世、門倉秀公)

スミライザーGSは、無酸素下でポリマーアルキルラジカルを捕捉安定化するもので、耐酸化着色性に優れるという特徴をもつ。GSは、先に開発したスミライザーGMの耐酸化着色性を改良するために開発したものであるが、構造と性能(無酸素化での熱劣化防止性能、耐酸化着色性)との相関性を見い出すことで理論的に構造設計を行ったものである。その検討経緯を紹介する。
(page 14-22 by 福田加奈子、井上喜久光、山口哲夫、佐々木万治、八児真一)

気相法プロセスを用いた直鎖状低密度ポリエチレン開発において、反応器設計に関わる検討は主要課題の1つであった。本稿では流動層モデル実験を中心とした検討結果を紹介するとともに、直鎖状低密度ポリエチレンの各種製造法の進展について簡単にふれる。
(page 23-33 by 宮崎耕造、半場雅志、長崎暉、小中力)

MOCVD法は多様な材料系において薄膜制御性と生産性の要求に同時に応え得るエピタキシャル成長技術である。MOCVD法結晶の品質に関する問題と応用例について述べる。
(page 34-48 by 秦雅彦、福原昇、松田芳信、前田尚良)

1980年代後半から全社TFA(Total Factory Automation)化を推進してきているが、工場コンピュータシステムの構築もその一環である。急展開するコンピュータ技術、特に、ダウンサイジング(小型機への移行)の潮流の中で、ワークステーションおよびRDBMS/4GLの採用、TFA要素モジュールソフトウエアの開発、ネットワークの構築をベースとした当社のTFAシステムの構築についての取組みを紹介する。
(page 49-58 by 今井 治)

化学工業では工場の操業という技術分野の体系的な開発が必要である。そのためには研究、設計、運転、保全等関連する部門が一体となって生産技術を革新していかなければならない。コンピュータ、データベース、ネットワーク、GUI等の情報処理技術の進展は生産技術に関する情報の共有化を実現する上で強力な手段となる。統合データベースとGUIを応用したいくつかのアプリケーションを紹介し、生産技術のリエンジニアリングを提案した。
(page 59-68 by 西川 浩、榧木 毅)

有機合成デザインをコンピュータに行わせるという発想が提案されてから30年が経過した。これまでの開発の歴史を整理し、かつ住友化学および国内外の大学・企業における有機合成デザインソフトの開発・利用状況について概説した。今後、有機合成デザインソフトの能力が益々向上していくことが予想されるが、合成研究者は、既知の反応の組み合わせで出来るような合成ルートの考案はコンピュータに任せて、自らは新規反応や触媒研究等のより創造的な仕事に特化することが期待される。
(page 69-82 by 高畠哲彦、竹村年男、銅金 巌)

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