レスポンシブル・ケア

基本的な考え方

レスポンシブル・ケア(RC)とは、化学製品の開発から製造・物流・使用・最終消費を経て廃棄に至るライフサイクルにおいて、「安全・健康・環境」を確保すること、製造する化学製品の品質の維持・向上を図ること、そしてこれらの活動について、対話を進めることで社会からの信頼を深めていくことを目指す、化学産業の事業者による自主的な取り組みです。

住友化学グループは、レスポンシブル・ケア活動を経営の最も重要な柱の一つと位置づけ、「安全をすべてに優先させる」という基本理念のもと、「労働安全衛生」、「保安防災」、「環境保全」、「気候変動対応」、「プロダクトスチュワードシップ・製品安全・品質保証」、「レスポンシブル・ケア監査」、「物流」の分野ごとに目標を設定し、その達成に向けて取り組んでいます。

マネジメント体制

住友化学のレスポンシブル・ケア活動の審議・承認機関である「レスポンシブル・ケア委員会」は、レスポンシブル・ケア委員長(代表取締役社長)のもとに、社内の4事業部門および管理部門の統括・担当役員、各工場の工場長により構成されており、年度方針や中期計画、具体的施策の策定や、実績に関する分析および評価などを行っています。そして、同委員会の実施内容を取締役会へ適宜報告し、取締役会より必要な指示を受けることで、業務執行や監督機能などの充実を図っています。

レスポンシブル・ケア体制

方針・目標

レスポンシブル・ケア(安全、健康、環境、品質)基本方針

住友化学は、事業活動のあらゆる段階において安全・健康・環境・品質に関して最優先に取り組む事項を「レスポンシブル・ケア(安全、健康、環境、品質)基本方針」として定め、当社の事業運営の基盤とするとともに、グループ会社にもこの方針を伝え、住友化学グループ全体に周知徹底を図っています。

当社は、「サステナビリティ推進基本原則」、「住友化学企業行動憲章」に則り、当社グループが、社会の信頼を得て、社会の持続可能な発展に貢献すると共に自らの持続的な成長を実現するため、安全、健康、環境、品質に関し、当社グループ会社と共に以下の事項を最優先事項として取り組む。

  1. 「安全をすべてに優先させる」ことを基本に、無事故・無災害の達成による安全・安定操業を継続する。
  2. リスクに基づき、労働安全衛生、保安防災などの安全に関するパフォーマンス、及び、自社の設備・プロセス・技術に関わるセキュリティの継続的改善に努め、従業員や地域社会を含むステークホルダーの安全を確保する。
  3. サプライチェーン全般にわたって化学品の安全性とプロダクト・スチュワードシップの継続的改善を促進し、化学品管理システムを強化することにより、製品のライフサイクルにわたる環境と人々の健康・安全の確保に努める。
  4. 開発から廃棄に至る製品の全ライフサイクルにわたって、環境パフォーマンスの継続的改善を行い、環境保護に努めるとともに、気候変動等の問題解決に取り組む。
  5. 顧客が満足しかつ安心して使用できる品質の製品とサービスを提供する。
  6. 国内外の法令・規準を遵守することはもとより、自主的な取り組みによりベストプラクティスの実践に努める。
  7. 社会の関心と期待に応え、説明責任を果たすため、情報の公表と対話を行う。
  8. パフォーマンスの改善やビジネスチャンスの拡大により、さらには社会課題に対して革新的技術やその他のソリューションを開発、提供することにより、社会の持続的発展に貢献する。

2020年4月1日制定

(注)「安全、環境、品質の基本方針」(1994年4⽉制定)、「レスポンシブル・ケア活動⽅針」(1995年1⽉制定)を統合し、制定

レスポンシブル・ケア活動の推進

住友化学では、レスポンシブル・ケアに関する方針・目標などをグループ全体で共有し、レスポンシブル・ケア中期計画の基本方針である「事業活動の基盤である無事故・無災害による安定操業の確保」に取り組むとともに、製品のライフサイクル全般における「安全・健康・環境」の確保、そして製造する化学製品の品質の維持・向上に努めています。

中期計画(2022–2024年度)
労働安全衛生
  • 各職場における安全文化や安全基盤のレベル測定を進め、継続的に改善を図る。
  • DXの活用や国際標準に準拠した安全衛生活動を推進することなどにより、コロナ禍による社会構造の変化や多様で柔軟な働き方を選択する新たな社会に対応する。
保安防災
  • 最先端技術の導入による管理技術の向上、高度な保安人材の育成、設備管理および施工管理の徹底を通じた安全基盤の強化を図る。
  • 自然災害の激甚化やテロなどの新たな脅威への対応を強化する。
環境保全
  • 環境関係法規の徹底順守と、継続的な環境負荷の低減を推進する。
  • さらに、水リスクや生物多様性など新たな課題にも対応しながら、社会的評価の維持・向上に資する環境関連非財務情報の開示に積極的に取り組む。

気候変動対応

  • SBT(Science Based Targets)目標達成に向けた具体的方策の策定と実施、さらにはSBT1.5°C目標への更新にも取り組む。
  • Sumika Sustainable Solutionsは、新たな2024年目標達成に向け、事業部との連携を深める。
プロダクトスチュワードシップ・
製品安全・品質保証
  • 人材維持、資格制度の導入などボトムアップを着実に行いつつ、リスクに応じた対応を、化学品総合管理システム(SuCCESS)を含む当社システムの活用により取り組む。
  • 品質問題の発生防止と失敗による損失を減らすため、リスク管理による未然防止活動を推進するとともに品質文化の醸成およびDX推進により業務品質の向上を図る。
レスポンシブル・ケア監査
  • 監査を通じ、レスポンシブル・ケアマネジメントシステムとその運用の継続的改善と関係法令遵守の徹底を図る。
物流
  • 物流安全品質事故の削減に取り組む。

(注)  各分野の重点活動と取り組み実績は、次章以降の詳細ページに掲載

現在、欧州・米州・中国・アジア大洋州の地域統括会社にレスポンシブル・ケア専任者を配置し、地域に根ざしたレスポンシブル・ケア活動を展開しています。2016年からは、グループ全拠点における安全確保の取り組みとして、グループ共通の「安全グラウンドルール」を定め、全グループ従業員へ周知し、労働災害撲滅に取り組むとともにグループ全体の安全活動の一層のレベルアップを図っています。そして、地域の安全・環境保全に努めるとともに、このような取り組みを近隣の皆さまに説明し、対話を進めることで、相互理解を深めていくように努めています。

また、国内外のグループ会社のレスポンシブルケア担当者が参加する定期会合や、地域統括会社、各生産拠点における研修や訓練を通じて、レスポンシブル・ケアの理念を実践できる人づくりを継続して行っています。さらに、レスポンシブル・ケア関連トピックスや類似災害防止のためのグループ内の事故・災害情報などを掲載したニュースレターの発信、グループ会社の優れた活動の表彰(RC Award)などのさまざまな活動を推進しています。

今後に向けて

気候変動問題への対応、循環型社会の形成、生物多様性への配慮など、地球規模の課題が山積する中で、化学産業に携わる私たちにとって、事業を継続する大前提となるのが、社会からの信頼です。お客さま、地域の皆さま、従業員と一緒に発展していけるように、これからもグループ一体となってレスポンシブル・ケア活動を推進していきます。