イニシアティブへの参画

住友化学グループは、サステナビリティ推進基本原則の中で「関係機関との連携」を掲げています。サステナビリティの推進、すなわち事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、自らの持続的な成長を実現するために、さまざまな国際機関、政府、地方政府、企業、業界団体等と連携することが重要であると考え、イニシアティブへの積極的な参画を進めています。

イニシアティブへの参画実績

国連グローバル・コンパクトにおける活動

住友化学は、2005年1月に日本の化学会社として初めて、国連が提唱する「国連グローバル・コンパクト(以下、UNGC)に加盟しました。UNGCは、各企業・団体が、責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって社会の良き一員として行動し、持続的な成長を実現するための世界的な枠組みづくりに参加する自発的な取り組みです。人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、そして腐敗の防止に関わる10の原則を掲げており、17,000以上の企業・団体がこれに署名しています。当社グループは、これまでのUNGCへの継続的な関与と、UNGCが定める10原則を遵守した事業活動が評価されたことにより、世界で37社からなるLEAD企業のうちの1社となっています。

現在は、UNGCの二つのアクションプラットフォーム「Climate Ambition」および「Peace, Justice and Strong Institutions」に参画しています。
また、国連創立75周年およびUNGC発足20周年の節目であった2020年9月の国連総会において、UNGCが提唱する「A Statement from Business Leaders for Renewed Global Cooperation」に賛同しました。本宣言は、国際協調やグローバルガバナンスの重要性を世界のビジネスリーダーが改めて表明することを目的としたもので、本宣言に賛同した企業のCEOリストも加え国連事務総長に提出されました。

「A Statement from Business Leaders for Renewed Global Cooperation」の骨子

  • 国連創立75周年にあたる本年、世界は新型コロナウイルスの感染拡大、気候変動、先行き不透明な経済情勢など、さまざまな危機に直面している。
  • こうした中、私たちは世界のビジネスリーダーとして、国際協調の精神の下、全てのステークホルダーと連携して、倫理に基づくリーダーシップを発揮し、透明性の高いガバナンスを実行すること、構造的な不平等および不正の是正に向けた人権尊重などの諸取り組みを進めることを約束する。
  • また、各国政府に対し、ビジネス、個人および社会の繁栄のために、人権を守り、平和と安全を保障し、法の支配を堅持すること、国際協調と各国の法制度の枠組みを強化して人類と地球の利益に貢献すること、腐敗の抑止、レジリエンスの強化、そしてSDGsの達成に向け、多国間協調とグローバルガバナンスを強化することを要請する。

UNGCウェブサイト「A Statement from Business Leaders for Renewed Global Cooperation」

  • 国連グローバル・コンパクト10 原則

UNGCウェブサイト「国連グローバル・コンパクトの10原則」

国連グローバルコンパクトCEO Study(2023年1月16日公表)に弊社社長の岩田のコメントが掲載されました。

“Nature positive is a concept or approach that encompasses carbon neutrality. Mitigating and reversing the loss of the components of nature, such as air, water and soil, is a pressing issue faced by humanity, and we should meet this challenge head-on, placing utmost and equal importance on each of those components.”

弊社社長の岩田の掲載コメント

ネイチャーポジティブは、カーボンニュートラルを包含する概念/取り組みである。自然を構成する要素(例:大気、水、土壌等)の損失を食い止め、回復に繋げていくことは、人類社会が直面する喫緊の課題である。私たちは、これら課題の解決に向け最善の努力を行っていく。各要素への取り組みの重要度には何の差もない。

(英文和訳参考)

  • 国連グローバルコンパクトCEO Study の図

ウェブサイト「The 12th United Nations Global Compact-Accenture CEO Study」

WBCSD※1への参画

住友化学はWBCSDに2006年に入会し、主に気候変動対応に関わる活動に参画してきました。
最近では、化学セクターの会員企業との連携を深めつつ、活動の範囲を広げています。具体的には、SDGsの枠組みを活用し、化学産業のサステナビリティへの貢献分野、課題を整理の上、その実現に向けた方向性を示した中長期のロードマップ(Chemical Sector SDG Roadmap)策定に参画しました。

WBCSD | Chemical Sector SDG Roadmap

また、WBCSD化学セクターTCFDガイダンス策定にも参画し、本ガイダンスで化学セクターにおけるTCFD提言の枠組みを活用した効果的な情報開示の方法や、シナリオ分析を行う際の基本要素を議論・解説しています。

WBCSD | TCFD Chemical Sector Preparer Forum Report

  1. WBCSD(World Business Council for Sustainable Development):
    経済界からの「持続可能な開発」についての見解を提言するために設立された団体。ダボス会議、ビジネス20(B20)、COP(Conference of the Parties – UN Framework Convention on Climate Change:国連気候変動枠組条約締約国会議)などの国際会議においてサステナビリティ推進に資する提言を行っている

TCFD※2提言への取り組み

住友化学は、気候変動対応に関する情報開示は時代の要請であるという認識のもと、この促進を目的とするTCFD提言の枠組みを活用し、当社の取り組みを積極的に発信しています。
また、当社は、TCFD提言関連のイニシアティブへの参画を通じて、ベストプラクティスを学びつつ、投資家と企業の対話を通じたガイダンス作りに協力しています。

イニシアティブへの参画を通じた取り組み

2017年6月 TCFD提言を公表と同時に支持
2018年8~12月 経済産業省「TCFD研究会」に参画
日本企業の強みが評価されるような開示の在り方を検討
2018年12月:経済産業省がTCFDガイダンスを発出
2018年12月~ WBCSD TCFD Preparer Forumに参画
2019年7月:WBCSDがTCFD化学セクターガイダンスを発出
2019年5月~

日本の産業界と金融界が立ち上げたTCFDコンソーシアムに参画 

2019年10月、TCFDサミットにて十倉会長が、「当社の気候関連機会獲得に向けた取り組み」について紹介

2019年10月:TCFDコンソーシアムがグリーン投資ガイダンスを公表

2020年7月:TCFDコンソーシアムがTCFDガイダンス2.0を公表

2022年10月、TCFDサミットにて山内執行役員が「当社の気候関連情報開示の取り組み」について紹介

  1. TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):
    主要国の金融当局でつくる金融安定理事会が、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受けて設けた民間主導の特別チーム。気候変動に関する企業の情報開示を促進している

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムへの参画

住友化学は、生態系保全や自然資本※3の持続可能な利用を一層推進し、自然関連情報の開示を充実化するため、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のビジョンを支持し、その活動を支援する自然や金融などに関する専門性を有する企業や団体からなるネットワークである、TNFDフォーラムに参画しています。本フォーラムへの参画を通じてさらなる自然関連情報開示の充実に取り組みます。

  1. 森林、土壌、水、大気、地下資源、生物資源など、自然によって形成される資本のこと。人々の生活や企業の経営基盤を支える重要な資本の一つ

Alliance to End Plastic Waste(AEPW)への参画

AEPWは、廃プラスチック問題の解決に取り組む国際アライアンスであり(2019年1月発足)、プラスチックバリューチェーンに関わるグローバルな企業が参加しています。
当社はメンバー企業として資金面からAEPWの活動を支えているほか、世界各地で実施されるプロジェクトの選定や持続可能性の検証、インパクトの評価にも関わっており、世界に散在する廃プラスチック高排出国におけるごみ収集インフラの整備事業など、個社では対応が難しい取り組みを、AEPWの枠組みを通じて他者と共に推進しています。
また、当社はAEPWを通じて日本の組織による廃プラスチック問題の解決を促進する活動にも深く関っており、AEPWが世界で推進しているプロジェクトの成功事例を参考にして、日本の産官学が廃プラスチック問題の解決に向けてどのように取り組むべきかを考えるウェビナーや、課題の解決に取り組むスタートアップ企業を発掘、支援する取り組みなどにも積極的に参加しています。

Japan Clean Ocean Material Alliance (CLOMA)への参画

CLOMAは、海洋プラスチック問題の解決に取り組む国内のアライアンスです(2019年1月発足)。プラスチックのバリューチェーンに関わる異業種間の連携を促進することで、プラスチック製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進し、イノベーションを加速するための活動を行っています。
当社は、マテリアルリサイクルに関するリサイクル率向上を目指した実証テストの計画に携わっています。

循環経済パートナーシップ(J4CE)への参画

J4CEは、国内の企業を含めた幅広い関係者の循環経済へのさらなる理解醸成と取り組みの促進を目指して、官民連携を強化することを目的としています(2021年3月発足)。「日本の先進的な循環経済に関する取り組み事例の収集と国内外への発信・共有」および「循環経済に関する情報共有やネットワーク形成」、「循環経済促進に向けた対話の場の設定」といった活動を行っています。
当社はプラスチックのケミカルリサイクルをはじめ、循環経済実現に向けた取り組みをJ4CEのウェブサイトで紹介しています。

ICCA※4「国際化学工業協会協議会」における活動

住友化学は、ICCAの活動において、「エネルギー・気候変動」リーダーシップグループへの参画を通じて、化学製品や化学技術によるGHG排出量削減への貢献に関連する国際共同研究に貢献するとともに、それらの成果の普及に努めています。
 また、「化学品政策と健康」のリーダーシップグループにも参画しており、世界各地における規制動向や製品中の含有化学物質の情報伝達の仕組みに関する調査への協力を行う他、アジア諸国で導入されつつある分類と調和に関係するワーキンググループに参画しています。さらに、プラスチック問題のワーキンググループでは、マイクロプラスチック問題とプラスチックの代替品の問題についての健全な科学に立脚した議論に参画しています。

  1. ICCA(International Council of Chemical Associations):
    世界各国の化学工業協会・連盟間の対話と協力を通じて、化学産業界の戦略について各国協会間の調整を図るために設立された団体。会員に共通する重点課題および化学産業界の諸活動に関して、国際機関などへ化学産業界の代表として提言を行っている

経済人コー円卓会議日本委員会主催 ステークホルダー・エンゲージメントプログラムへの参画

女性のエンパワーメント原則(WEPs)における活動

  • Women’s Empowerment Principles

女性のエンパワーメント原則(Women’s Empowerment Principles(以下、WEPs))は、2010年3月に、国連と企業の自主的な盟約の枠組みである国連グローバル・コンパクト(以下、UNGC)とUN Womenが共同で作成した7原則です。企業がジェンダー平等と女性のエンパワーメントを経営の核に位置づけて自主的に取り組むことで、女性の経済的エンパワーメントを推進する国際的な原則として活用されることが期待されています。

女性のエンパワーメント原則(WEPs)

  1. トップのリーダーシップによるジェンダー平等の促進
  2. 機会の均等、インクルージョン、差別の撤廃
  3. 健康、安全、暴力の撤廃
  4. 教育と研修
  5. 事業開発、サプライチェーン、マーケティング活動
  6. 地域におけるリーダーシップと参画
  7. 透明性、成果の測定、報告

住友化学は、2013年に署名し、2016年にはUNGCのローカルネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワー
ク・ジャパン(以下、GCNJ)」にて、WEPs分科会立ち上げにも携わりました。

2022年度 GCNJ WEPs分科会 活動実績

日時テーマ
1 2022年7月8日(金)

WEPsとは?最新の動向

2 2022年8月5日(金)

ロジカルシンキング×D&Iで育てる
“自分の意見”を言葉にする力

3 2022年11月30日(水) 会員企業3社の事例紹介とパネルディスカッション
4 2023年3月3日(金) 多様な人材が活躍できる職場をつくるには

5

2023年4月4日(火) ウーマノミクスの意義

(注)新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインで実施